2017年11月13日
いのちの授業
今年、105歳で亡くなられた聖路加国際病院名誉院長で生涯現役を通した、日野原先生のご本 「 いのちの授業 」 をひも解いてみた。子供向けに書かれた平易な文章の中に秘められた豊かな人生訓に納得した。
◎ いのちとは なんでしょうか
私が、この「 いのちの授業 」 で10歳の子どもたちに 「 いのちってなんだろう? 」 と問いかけると、 「 心臓 」 という答えが返ってくることがいちばん多く、「 どこにある? 」 とつっこんで聞くと、みんな胸を押さえて 「 ここ! 」 と答えてくれます。「 あたま 」 や 「 からだ全体 」 という子どももいました。
この本を読む君たちのなかにも、いのちは心臓にあると思っている人はきっと多いことでしょう。でも心臓は、いわばポンプです。心臓は私たちが吸った息のなかの酸素や腸から吸収した栄養素を、血液といっしょに頭や手足、からだ全体に、ひとときも休むことなく送り続けています。だから、私たちのからだは動くことができるのです。いわばいのちを動かす役割を果たすのが心臓、というわけで、その心臓はいのちそのものとは言えないのです。
◎ どうして、人をなぐってはいけないのですか
友だちや両親にいやなことを言われたり、たたかれたり、なぐられたりしたらきっとはらがたつでしょう。 「 いつか仕返しをしてやろう 」 と思うかもしれません。でも、そこで、言い返したり、なぐり返したりしてしまうと、ケンカが終わらなくなります。
国と国が戦争を始めるのも、同じことなのです。 「 ミサイルで攻撃されたから、仕返ししてやる 」 そんなふうに仕返しばかりしていれば、戦争は決してなくならないのです。
もしみなさんが、なぐられてもなぐり返さないようにして、いじめられてもしんぼうし、 「 今度からはなぐるなよ。仲よくしよう 」 と言う。そうすれば、いじめやけんかがなくなります。一人ひとりがそうすれば、世界中から戦争がなくなりますね。
それが、平和ということなのです。
◎ いのちは、時間
いのちは、自分が使える時間
69.7歳と82歳では12歳も違います。40年前より今のほうが、平均して12年長く生きることができるのです。12年分 「 いのちがのびた 」 という言いかたもできますね。
「 なるほど、寿命なんだ、時間なんだ 」 とみなさんはおもうかもしれません。たしかにそのとうりです。そのとうりなのですが、たとえばその12年間という 「 いのちの時間 」 を、寝てばかりですごすのと、あちこちへ旅をしたりたくさんの人と出会ったりしてすごすのでは、まったく違います。
たとえば1時間、自由に使える一時間でも使い方はいろいろでしょう? 自分のもち時間の使い方にはいろいろあるのです。
ですから、いろいろある時間の中でも、私は 「 いのち、とは君たちが使える時間 」 だと、みなに教えたいのです。
◎人生の失敗は 長生きをしてあがなえばいいのです
もし、過去の人生において失敗したことや、後悔することがあれば、それをあがなうためにもっと長生きをしなければならないでしょう。人から借りたお金があれば、長生きをして返さないといけないでしょう。だから、人生において失敗をした人ほど、長生きしてほしいと、私は切に思います。キリストは人のために尽くし、しかし世間から誤解され、弟子の一人の裏切りで十字架にかけられ33歳で亡くなりましたが、一般の人はキリストのように犠牲的な立派な生き方はできない。だから、長く生きて償いをしよう―、そう考えてほしいと思います。
◎ 「 殺してはならない 」 ではなく 「 嫌いな相手をもゆるす 」 ということができる人。 そんな人になってほしいのです。
ちょっと気に入らないことがあったからといって他人を殺すだけではなく、親が子を、子が親のいのちを奪ってしまう・・・・・。最近、簡単に人が殺されているように思います。どうしてこんなことが起きてしまうのでしょう。
この世には、キリスト教、ユダヤ教、イスラム教、仏教といった、世界中の多くの人々に信じられて宗教があり、日本では八百万の神々を信じる神道や、仏教が代表的な宗教とされています。しかし多くの方々はふだんの生活のなかでは、それほど宗教を大事にしていないと思われます。でも宗教はいのちの大事さを説き、また、私たちが毎日の生活を送るなかで、人と付き合ったり、暮らしてゆくうえでのルールを決めてくれています。
私は、これらの宗教が 「 人のいのちを奪う 」 ということについて、どのように語っているかを知りたくてキリスト教のよりどころである旧約聖書と新約聖書を調べてみました。
キリストが生まれる1000年も前に書かれた旧約聖書には、人として、付き合っていく上での 「 いましめ 」 として 「 あなたは殺してはならない 」 とはっきりと書かれてあります。
旧約聖書が書かれてから500年が経ってから書かれた新約聖書の中には 「 汝の敵を愛せよ 」 とあります。
親しい人や家族に優しくすることは難しいことではありません。でも新約聖書では、あなたが嫌いな人にも親切にし、愛しなさいと言うのです。
● そして日野原先生は
『 何かを期待する Pay Back ではなく
先にまず贈る Pay It Forward 』 と言う言葉を挙げておられます。
● 見返りを求めるのではなく、こちらから進んで、人に尽す。
あらためて、日野原先生に合掌、冥福を祈りたいと思います。
Posted by masuzawa05 at 06:30│Comments(0)