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増澤信一郎の心模様

2017年09月18日

トレンチコート

● 今から四十数年前の事、新婚旅行でイギリスに行ったとき、バーバリーの本店で素敵なトレンチコートに巡り会えた。一目で気に入り買おうと思って着てみたところ、胴長短足の日本人的体形と、サイズが大き過ぎたこともあって、あまりにも似合わなかった。
同行してくれたJALの添乗員までもが 「 似合わない 」 と言う始末で、諦めた。

その代わり悔し紛れに、こげ茶色へリンボン柄のカシミヤ製タートルネックセーターを買った。肌触り良く気に入っていたので、ほつれるまで着続けた。

この手のコート、カサブランカのハンフリーボガード並にはいかないのだ。それ以来悔しくて、何度もトライしているのだがなかなか気に入ったものに巡り合えないもどかしさ、軍用に端を発するコートは、やはり大きな厳つい肩の張った体つきでないとダメなんだろう。
 
大学4年の時着ていたダブダブのベージュ色のトレンチ風コートは赤羽駅の構内でやらかした、大乱闘の喧嘩の遺留品として赤羽署に一時保管されていて、怪我人が出たこともあり、検事の裁定まであって、無罪放免の時に警察官から 「 お持ち帰りになりますか 」 と、問われたのだが、安物で血がついてよれよれになっていたので、処分してくださいと言って置いてきた。そんな苦い思い出もある。
 
トレンチコートと言えば男のものというイメージがあるが、髪をひっつめにした女性が無造作にベルトを脇に結わえて、都会の寒風の中を靴音カッカ、颯爽と歩いているのもいいもんだ。
たしか、皇太子妃雅子さんの若いころの写真に、そんな装いの格好いい外国の街角写真があったのを覚えている。



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 新聞に載っていたJ・PRESSのCM、松浦弥太郎さんという方のこんな文章が気にいったので紹介したい。

◎ トレンチコート;

ニューヨークで無一文になった。
その日の午後、セントラルパークのベンチに座っていると、
一人の老紳士が、横に座り、
さて、いかがお過ごしかな、と話しかけてきた。
ニューヨークにやってきて、頑張ってみたけれど、
ポケットの中がとうとう空っぽになりました。
今日までの経緯を、僕が開き直ったように話すと、
老紳士は、そうでしたか、よく話してくれましたね。
ほんとうにありがとう、と深々と頭を下げ、
着ていたトレンチコートのポケットから、
二十ドル札の束を取り出し、
よかったら、どうぞこれをお使いください、と言った。
突然のことにびっくりした僕は、
そんな大金をいただくわけにはいきません。
お借りしたとしても返せる見通しはありません。
そう言うと、お金は返さなくていいのです。けれども、
何十年先でもいいので、いつか困っている人に出会ったら、
あなたがその人を助けてあげてください。
そうすれば、あなたは私に返済したことになるのです。
今日は寒いですね。どうぞお風邪を召さないように。
老人はトレンチコートのポケットを手でポンポンと叩き、
私のポケットも空っぽになりました、と言って微笑んだ。
今日はいい日だ。老人はそう言って立ち去っていった。
それから三十年経った今、僕はトレンチコートを着て、
冬のセントラルパークを静かに歩いている。
あの日がなければ今の僕はいなかった。


● たまたま今朝の我が家の食卓、仕事でニューヨークに滞在していた娘のところに会いに行った10年前のことを女房と話したばかりで、摩天楼聳えるニューヨークなら、こんな紳士のことが、ありそうだと密かに思った。

ありそうでなさそうな、それでいて有って欲しいような心温まるお話。この宣伝文章はなかなかいい。

〇 概要
トレンチコートの起源は第一次世界大戦のイギリス軍で、寒冷な欧州での戦いに対応する防水型の軍用コートが求められたことから開発されたものである。もっとも、その原型は既に1900年頃には考案されており、第一次大戦での普及が、一般への広がりの契機となったとも見られる。
「トレンチ(塹壕)」の称は、このコートが第一次大戦で多く生じた泥濘地での塹壕戦で耐候性を発揮したことによる。平時のファッションとして用いられるようになってからも、軍服としての名残を多く残す。
イギリスのバーバリーとアクアスキュータムの2社の製品が元祖と言われ、現在でも有名である。
実用性が高く、かつ外観的にも機能美に優れることから、1930年代以降、特に男性の冬のファッションにおいて定番の一つとなった。ハンフリー・ボガートやアラン・ラッドなどの俳優がフィルム・ノワールの中で着用したことでより人気が高まり、トレンチコートに「ハードボイルド」のスタイリッシュなイメージを植え付けた。



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第一次世界大戦のトレンチコート
トレンチコート(Trench coat)は、冬季用の外套(オーバーコート)およびレインコートの一種。


Posted by masuzawa05 at 05:30│Comments(0)
 
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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