livedoor Blog
このBlogをチェッカーズに追加 このBlogを
チェッカーズに追加
このBlogをリーダーに追加 このBlogを
リーダーに追加
増澤信一郎の心模様

2017年01月23日

椎茸(シイタケ)

 ヒラタケ科の食用きのこ。シイ、クリ、クヌギなどの広葉樹の枯木中に生じ、傘の外面は紫褐色または黒褐色で、裏面と柄は白い。生のものは淡味、干したものは香りが高い。各地の林下に菌糸を植えた榾(ほだ)木(ぎ)を並べて栽培する。

1

    

























 もう、20年も前になろうか、我が家の菩提寺(浄信寺)の周囲に生えていた椎の木を、何本か切り倒し捨ててあった。その中から直径・高さ4〜50センチの切り株を何本か勝手に貰ってきて、ミカン畑の一画に切り開いた駐車場の畑用の流しの脇に、腰かけ台として長らく使用していた。

ある日よく見ると、切株の日蔭側に直径15センチほどの立派な厚みの大きなきのこが自生していた。茸好きの私としては咄嗟にいい椎茸だと思い採って帰り、鉄器で焼いて醤油をかけて食べた。 

椎の木から自生していて、すなわち椎茸だし、見た目も香りもそのものだと確信して持ち帰ったものを、女房は最初疑ってかかっていたが、 「 食べるの・・・ 」 と言いながら鉄器で焼いて呉れたので、醤油をかけてむしゃむしゃと食べた。

“ なんともうまかった! ” 

後で農業を営んでいる叔父にその件を話したところ、 
「 オエー、よく食ったなあ〜 そんなものを 」 と言って、驚きあきれ顔で笑った。


2

 






























 先日、グルメであり、自ら料理をする作家の故・檀一雄さんの 『 わが百味真髄 』 を読んでいて、その時の椎茸のことを思い出した。


◎ 檀一雄さん曰く、新しい茸は命懸けで喰うべし;

そろそろ梅雨明けの頃になってくると、きまって、私の書斎の西側のま下あたりに、一むれの茸の類が発生する。
私は、それがキノコだとなると、どうも、黙って見過ごしにはできにくい性分なのである。キノコとなったら、まったく目がない。
そこで、その一本を、こっそり折り取って、その匂いに嗅ぎ入ってみたところ、甘い、乳っくさい、よい匂いなのである。
すると、これは「竹孫(ツースン)」ではないか、咄嗟に、胸がおどる感じであった。もし「竹孫」なら貴重で高級な食品だ。それを乾かしたものは、中国料理材料店だって、話にならないほどの高値である。
「竹孫」をスープに入れると、格別にうまいダシが出て、鳩や鶉(うずら)の卵ととてもよく調和する。
「竹孫」であるか、「竹孫」でないか、私は千千に心を砕きながら、家の中にかけ込んだ。女房を大声で呼んで、
「 おい、竹孫だよ、竹孫。もし、竹孫なら、とてもうまい中国料理のスープの実だ。とにかく喰おう 」

女房は、おっかなびっくり、私の手中のキノコを眺めまわしていたが、
「 よしましょうよ。こないだの山ゴボウみたいなことがあるでしょう・・・ 」

( *以前自生の山ゴボウで家中、嘔吐と下痢を繰り返したことがあるみたい )

さて、私の掌の上の、匂いかぐわしいキノコの話にもどるのだが、

「 山ゴボウのこともあるでしょう。もうそんなキノコ、棄てておしまいになったら 」と細君は重ねて言った。
「 いや、これは喰える 」
私は手中の「キノコ」を捨てきれずに、炉端に置き、酒を飲み始めながら、もう一度植物図鑑をていねいにひろげ直しては読んでいった。
あった!
「キヌガサダケ(竹孫)ではないけれども、「 あみがさだけ」というのが、私の手の中のキノコの特徴をことごとくかね備えている 」

その牧野植物図鑑の「 あみがさだけ 」の項は、「 欧米諸国ニテハ、一般ニ食用トセルモ、我邦ニテハ本菌ガ美味ナルコトヲ知ラザルモノ多シ 」 と結んでいるではないか。
私は大あわてに笊(ざる)を取り、わが家に自生した 「 アミガサダケ 」 をひとつひとつ、まるで宝物のように摘み取って、持って帰り、そろそろ集まってきた酒友達を相手に、ジュンジュンと語り聞かせるのである。

さて、料理は欧米調でなくてはならないからというのでベーコンを湯通しし、玉ねぎとニンニクをていねいにいためたあげく、「 アミガサダケ 」 のザク切と一緒にいため合わせ、ホワイトソースと極上の葡萄酒で和えてみた。さて一口、
「 うまい! 」
こうなったら、とっておきのボルドーを一本、自祝自宴の形になり、
「 うまい! 」
しばらく見守っていた友人たちも、おいおいとスプーンですくい取って、
「 こりゃ、うまい! 」
たちまちのうちにわが 「 アミガサダケ 」 の皿は底をついた。ただ、私の一部始終を見守っていた細君の姿が、いつのまにか、見えなくなっただけである。


● ことほどさようにこの作家、ゲテモノ食いの悪食なのか、グルメなのかはよくわからない。

私(増澤)なんぞは可愛いものだ。・・・でも危なかったかも知れない。


Posted by masuzawa05 at 06:30│Comments(0)
 
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
MONTHLY ARCHIVES
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計: