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増澤信一郎の心模様

2015年12月21日

建築賞・その4

3年前より建築士事務所協会からの出向で建築賞の審査員をしている。審査員は8人居て、その内5人が学校の先生で、設計関係の建築家は私を含めて3人である。
2015年度 中部建築賞ノミネート作品の内、交通の至便さと興味の関係から静岡県内の3件の現地調査をした。

中部建築賞は中部地方9県 愛知、静岡、三重、岐阜、滋賀、福井、石川、富山、長野の住宅と一般建築の二部門で、それぞれ10作品程度を顕賞するもので、入賞、入選、特別賞に振り分けます。入賞が一番よい作品です。

◎san grams(さんぐらむず)
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美味しいお茶は3グラム程度で、心を入れていれるという。だから 「 san grams 」 。お茶屋さんとしての、小さな自己主張を込めた店名の謂(いわ)れを聞いた。
 お茶の販売、試飲、喫茶、レストランを兼ねるシンプルな外観のこの店舗は、両脇を耐震のコア壁で固め、長辺方向は透けたガラス張りでまとめた、緑の風が吹き抜ける明るくスタイリッシュな設えは、在来木造を感じさせない秀逸なデザインである。
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商店建築としてのファサードは、ワイヤースクリーンとし、圧縮を負担する桧の角材と、ステンレスワイヤーに依る引っ張りで構成し、9Mスパンの軒先の垂れ下がりを解決するという、2Dテンセグリティーを採用している。構造すなわち意匠となる建築の本道に沿った解決策が見事であり、ややもするとスダレ等で軒先を飾る安易な方法は敢えて採らず、深い軒先を正攻法で攻めたとこがいい。
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内装、家具、外構(庭園のみ別途)を含め約73坪の建物を\5,000万で収め、ファサードスクリーンは、その内僅か\200万程度というコストコントロールは見事であり、まさしくリーズナブルである。
帰り際再度振り向いてみると、茶柱にも似て浮遊する “木ブロック” が軽快で爽やか、全体のフォルムは静岡茶のように芳(かぐわ)しく、かつ凛として美しい。

●私(増澤)は気に入ったのだが、軒先の垂れ下がり防止策としての効用が・・・・・?なおも食い下がり、“ 美しさ ” も入賞条件だと述べたのだが・・・・・・・・!?8人の審査員の内6人の反対が有り惜しくも落選でした・・・残念!

 後日表彰式に審査員長の新居千秋先生からこんなコメントを頂いた。

審査員の増澤氏から 「 ‘ 美しい建築 ’ を選んではいけないのか 」 という質問が出た。それは建築の何を持って評価すれば良いかという事を私に問いかけた。
 「 私は以下のような基準で建築を評価しているが、彼のこの素朴な疑問にもいつか答えようと思った 」。

1 コンセプト、プログラムがしっかりしていて実際の建物になっても、それが継続しているかどうか。
2 人が集まったり、居心地が良い雰囲気や空間になっているか。
3 形のための形を目指すのではなく、デザインの基本形が形(shape)ではなく、型(form)に置かれていて、出来上がった建物にそれを感じるか。
4 構造までアイデアが至っているか。環境やエネルギーを考慮しているか。
5 身体性(somethtic)が感じられるか。

 先生は4年間の任期を終え、次は栗生さんを審査員長に推薦されたとのこと、新居さんとのいい思い出が残った。私の任期4年も後1年、次期審査員長との邂逅を心待ちにしている。


Posted by masuzawa05 at 06:00│Comments(0)
 
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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