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増澤信一郎の心模様

2013年03月11日

心に残る建築家の言葉・その32( F・Lライト )


旧・帝国ホテルの作品、そして粋な落水荘ゆえに、フランク・ロイド・ライトの作品と名声はゆるがない。
そして女性にまつわるゴシップはつとに有名であるが、私自身いざとなると彼の言行録を意外と知らないことに気が付いた。そんな訳で彼の著作 「 自然の家 」 をひも解いてみた。

◎ 私は信ずる: 家は芸術作品となることによって、単なる住まいを越える存在となる。

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○ 単純であることは勇敢なことである:

 有機的建築の本質的特性のひとつは、その自然な単純さである。それは納屋の横っ腹にあいた扉のような単純さとは違う。たしかに簡素であることは単純性のひとつのあり方ではあるが、私の言っているのは別のものだ。 『 単純性とは、そのものの本性の中にある本質的特質の直裁かつ明快な表現である 』 だから、あらゆる形に潜む自然で有機的なパターンは、真の単純なる形式である。
そして 
「 デザインとは自然の要素を純粋に幾何学的な表現手段によって抽象することである 」 と言い、一貫して自然と建築の共存を提唱し、有機的建築を数多く残しました。


○ 有機的建築: そして、自然であること

 有機的単純性は、見ようと思いさえすれば、そこかしこに現れている。それは、峻厳でありながらも調和した秩序の中で、意味のある個性をつくり出す。この秩序こそ、自然という名で呼び習わしているものなのだ。


○ プレイリー ( 大草原 ) 住宅の成長:


 例えばこんな具合

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 屋根勾配を低く抑え、鋭い軒を外周に連続して突き出し、軒下に窓と腰壁が連続して、水平性基調がいっそう強められている。腰壁を外側にずらせば、リビングポーチに相当する空間を自由に作り出すことが出来る。細長い帯状の要素が束になって走るかのような水平方向の延伸性。これによって住宅の造形は、固定した箱型のプロポーションから脱し、周辺環境に応じて自在に成長していけるようになった。 
 師 ( ルイス・サリヴァン ) が摩天楼を題材にして鉛直方向で行った試みを、ライトは水平方向に転換し、住宅の空間的造形に移行して行った。


● なぜか増築を繰り返し、イレギュラーに伸びやかな連なりを見せる桂離宮に似ていると思いませんか

● 彼の手懸けたプレイリー住宅の世界は自由奔放、日本の数奇屋に通じていると思える。又、大きな住宅の居間をロビーに、寝室を客室にすればホテル・旅館としても充分に使える。


○ 有機的建築と東洋: ヴァナキュラー ( 土着的建築 )の域へ

 東洋人は、その感覚を持ち続けているのであり、あらためて頭で考えるまでもなく、本能的にそのやり方で建物を建ててきたのである。彼らの本能は正しかった。

 得意の絶頂期にあった私の手元に、駐米日本国大使が送ってくれた、岡倉天心の 「 茶の本 」 を読んで私は次の一文に行き当たった。 「 ひとつの部屋の実体は、屋根と壁によって囲み取られた空間にこそ見出されるべきものであって、屋根や壁そのものに見出されるべきものではない 」 

 その一文に、私は自分自身を発見した。一人前のケーキなったとうぬぼれていながら、実はその生地にすら入れてもらえていなかったのだ。私はその小さな本を閉じ、道ばたの石でも蹴飛ばして、千千に乱れた気を取り直そうと表へ出た。

● 尊大のようにみえて、内に秘めた謙虚さはさすがだ。



● これは二十数年前に手懸けた茶寮 宗園のロビーです。

 赤茶の革の、私(増澤)が蟹のような椅子と呼んでいるライトの椅子です。カッシーナでいろいろ見ていたらたまたま見つけ、小ぶりですが似合うとピンときて、どうしても欲しくなり置いたものですが、旅館ではここだけだと思います。

土壁と木と障子の現代の日本旅館によく合います。

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Posted by masuzawa05 at 09:01│Comments(0)
 
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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