2013年01月28日
パウル・クレー展
終わらないアトリエ:
画面にあふれる物語性や詩情で多くの愛好者を持つスイス生まれの画家。多様な作風の根幹を流れるのが 「 音楽 」 だ。自身プロオーケストラに入るほど腕達者なバイオリニストだったが、ある日、絵の道に転向を図る。
● 確か以前、野見山暁冶さんの絵が書評で音楽のような絵と呼ばれ、私も納得したのだが、他に音楽のような絵が有りうるのか!? この言葉に引かれて足を運んだのだが、正直私(増澤)、そんな風には感じられなかった。 絵は絵だ。
音の感性を絵に託す・・・、私の感性が鈍いのか・・・ただし多様なテクニックを駆使しての、バラエティー豊かな世界に翻弄されてしまった。絵の渦に巻き込まれるように。この人の絵の本質とはなんなのか!?・・・・・。
○ 花ひらいて
○ 山への衝動
○ バルトロ 復讐だ、おお!復讐だ!
◎ 「 音楽家ではなく画家の道を選んだのは、音楽ではやるべきことをやり尽していたのに対し、絵にはやるべきことが残っていたからだ 」・・・と。
この絵はモーツァルトのオペラ 「 フィガロの結婚 」 の一場面に想を得た作品だ。主人公のフィガロに女性を巡る恨みを持つ医師のバルトロが、復讐を決意した歌を歌う。画面の中央の抽象化された人物の描写を、舞台上の歌手が両手を広げて歌っている様子だと認識した瞬間に、頭の中では堂々としたバスの歌声が響き始める。
○ 蛾の踊り
○ 191545の両翼部
○ 南アルプスの村落・A
○ 無題 ( 座っている少女 正面から見た )
◎ クレーの隣人がある日、足をどんどん踏み鳴らすリズミカルな物音を聞いた。廊下であったクレーに聞くと、 「 絵を夢中になって描いていたら、突然、 − なんだかわからないけど − 踊らずにはいられなかった 」 という答えが返ってきた。出来上がった作品や行動を見れば、クレーは音楽をやめたのではなく、音楽を表現する舞台を演奏会場から絵画に移し変えたと考えるべきだろう。
● それじゃー、自分のもとを去っていった、いや、去らざるを得なかった恋人を未練がましく思い出す、因業オヤジの余生みたいなもんだ。 と、私(増澤)は思った。それって絵に失礼だろう!
○ 都市的構造
○ 考え込んで
○ アトリエにて本人
◎ 「 約1世紀前、ここスイス・ベルンで物理学者のアインシュタインは 時間の揺らぎを、 画家のクレーは ここで空間の揺らぎを発見した 」と、展覧会評者の言。
○ 老人
○ 襲われた場所
○ 腰掛ける子供
○ ぼろきれお化け
● 私(増澤)思いますに、クレーは 心の趣くまま音楽の調べにのせて、絵を描き、時に転調を繰り返しつつ、思いのまま、イメージの世界に遊行する絵のコンダクター。
敢えて欲目に言えば、せめてそんな風に思えなくもない。
Posted by masuzawa05 at 09:31│Comments(0)