2010年05月24日
詩人の感性に学ぶ・その13
● 百歳になる詩人なんて、 ・・・素敵だ。
長生きしている人の意見・感性、特に思索に耽って年を重ねた言葉には含蓄がある。
先日我が家は大型の地デジ対応のTVに買い換えた。
「 きれいに映るね・・! 」 と言う89歳になる母に 「 長生きをすると、いろいろな時代の変化に出会える。永く生きれば楽しいことがいっぱい有る 」 と言うとニコニコして 「 うん 」 と答えた。
「 ニッキチョウ 」
アタラシイ
ニッキチョウだ
がんばるぞと
りきんでみせても
あいてはカミさん
ただひとり
ごりょうにん
ともに
ごりっぱな
アルツの
ハイマチャン
こりゃアカンと
きづいても
もうフンづまり
ニッチも
サッチもで
めでたしや!
「 なあ 」
だが
でも
マサカさ
あいつが
なあ
うん
そう
ナンデさ
そいつと
なあ
まあ
じゃが
イツモさ
せけんが
なあ
「 手と足と 」
手を変え
品を変えても
手が足りず
手を切る
んと
足を洗っても
洗っても
足がつく
んと
どっちが好き?
好き嫌い
じゃない
おつむ変えて
お前こそ
手足洗え
まど・みちお 百歳詩集 『 のぼりくだりの・・・ 』 より気に入った三篇。
● 私(増澤)読もうと思って、手帳にメモしてあったので、丸の内本店・丸善で買った。そのまますぐにティールームでケーキセットを食べながら読んだ。子供返りのような詩だがこなれていて面白い。
ここの書店では80歳代の 「 まど・みちお 」 をそちこちに見かける。
ちょうど昼下がりのティールーム、向いのテーブルに初老の夫婦、名物であろうかハヤシライスを食べている。刈り上げ君のようなヘアースタイルの着飾った奥さんと、フリータイムなのに律儀に背広姿の枯れ細った旦那さん。両者寡黙にスプーンを運んでいる。
そしてこんな詩が出来た。
「 つまらない 」
女は年を取ると
男にもなるが
男は
年をとっても
ただのおじさん、おじいさん
・・・・・
つまらない
ますざわ・しんいちろう 六十三歳の詩 『 まだこれから・・・ 』 より。
後日、早矢仕ライス ( ハヤシライス ) を食べてみた。 うまかった。
丸善の創業者・早矢仕有的 ( はやしゆうてき ) が早矢仕ライスを生み出したとある。カタカナのハヤシと苗字の早矢仕が結びつかず、ホントカナーと思ったが、謂れを書いたパンフレットまで有るのだから本当だろう。 是非一度食べてみてはいかがでしょうか。
Posted by masuzawa05 at 10:15│Comments(0)