2009年01月13日
壊れゆく常識
○ 豊かさとは:
クイズをひとつ。中間層の世帯の半数には使用人がいる。車を持つ世帯の一割にはお抱え運転手。さて、この国はどこですか?
答えはインド。今は五千万人程度の中間層は向こう七年で二億〜三億人に増えるという。博報堂の調査によれば年収はたかだか百万ルピー(約二百万円)。日本なら課税最低限以下だが、日本の中間層よりも生活スタイルは豊かだ。
○ 低価格化の衝撃:
世界銀行によると、同じような新中間層は東アジアを中心に急増し、2030年には05年の三倍の十二億人に達する。世界経済の主役に躍り出る彼らの影響を一言で表現すれば、 「 低価格化革命 」 である。
「 そんな値段で作れるのは前の座席部分だけ。大赤字だ 」 日本円で約二十万円の超低価格車開発を急ぐインドのタタ自動車からシートの注文を受けた日本メーカーは、即座に取引を断った。だが、A・Tカーニーの試算によると世界中から部品を集めればエアコン、エアバッグ付自動車でも三千ドルでつくれる。
○ 壊れゆく常識:
日本などの先進国では豊かな消費者が高性能の商品を買うことで企業の利益が生まれ、年金や雇用を守る源泉になってきた。日本企業が不況時にコストダウンを進めても、高付加価値を求める日本の消費者は最後の頼みの綱でもあった。
ところが、世界の新中間層は違う。これまでの常識を破るような低価格化を企業に求める。企業には一段と厳しいコストダウンの圧力がかかり、雇用を守る以前のような役割を果たすのは難しくなっていく。
○ 不安の正体:
「 二十五年後には平均的なコンピュータープログラマーと大工のどちらが稼げるか?それは恐らく大工だ 」。米連邦準備理事会(FRB)の元議長のアラン・ブラインダーはいう。平凡なホワイトカラーの仕事は世界のどこかで代替されてしまうのだ。
06年でみると、米国では上位0・1%の所得層が全体の収入の8%弱を独占する。この割合は過去二十年間で五ポイント増えた。 「 競争に耐える独創的な知 」 に富が集中したからだ。対照的に中間層の取り分はグローバル化で削り取られた。
「 日本も米国と同じ運命をたどる 」 と見る。苦しくなるのは平均的な労働者や正社員であり、これが漠然とした不安の正体ではないかといわれている。
以上、日経: 「 世界この先 」より抜粋。
私(増澤)思いますに、ユニクロは売り上げを伸ばしつつ世界を視野に入れている。勝手に解釈すると、キーワードは ‘ 温かさ ’。 フリースのジャンパーやヒートテックの肌着が売れている。 体より人の心が冷えているから・・・。
安くて良いもの(良いものを安く)という付加価値をつけて前進している。私も着ているが大量消費衣料では一目でユニクロと判らないところがいい。
私どもは高付加価値を付けたリーズナブルな工事費の小規模高質旅館の設計に日本旅館の将来を賭けている。我々は儲かる施設を安く創っていると自負しているのだが、まだ道半ばである。
ここでもキーワードは素敵さを伴った総合的な ‘ 温かみ ’ かもしれない。
大規模なホテルナイズされた旅館では低価格化という流れの中で、常識が覆りつつあるが、従来の旅館の食事提供の仕方、内容では限界がある。
旅館の食事には期待しない。むしろ安く泊まることを望んでいて、一歩外に出ればコンビニを含めて安い食事処はいっぱい有る。そういう層が多いいのも事実である。泊食分離を含めたいろいろの選択肢が有っていい。
泊まりと温泉に 「 食 」 をどう絡めるか。宿泊棟と離した、とっておきの良い場所で、 ‘ 何 ’ を ‘ どう食べる ’ か? そこが問題だ。
そしてなによりもハード、ソフトを伴った 『 温かな 情緒性 』 の商品化に取り組まなければ! それが急務だ。
Posted by masuzawa05 at 10:07│Comments(0)