2006年01月10日
建物の再生・その2
信州・安曇野の田園地帯、杉林と小川に囲まれた一画にかりんとう屋
‘蔵久’は在ります。古い酒蔵を改造した建物です。
かりんとうの製造販売と母屋の座敷を改造した喫茶と創作中庭に面したカフェーから成る構成はモダンと古い施設が合体した秀逸なデザインです。
古い苔むした庭に面した座敷は、既存を生かしつつ長押の中にテープライトを忍ばせた灯りの横ラインと、行灯の点光源をアクセントに、懐かしいコードペンダントの灯るほっとする空間です。
古い建物には生き抜いて来たという力強さが有ります。
ここでふと、一昨年初めて訪れた北京の街中に中庭のある住宅を改造したホテルが在ったことを思い出しました。人と建物とのつかず離れずの間合いは、中庭や渡り廊下を介して豊かに盛り上がります。
蔵久の庭を歩きながら、外部を取り込んだ気遣いと設え、やり方によってはもっと艶っぽい和の宿が出来るな!と思えるような、(この所なんでも旅館にむすびつける癖がついてしまって?)あくまでも平面的ですが、伸びやかで安心な空間の繋がりでした。
創作中庭を挟んだカフェーには外部を歩いて行きます、そちらから見た母屋の瓦の家並みもまた美しいです。カフェーの入り口で出来立ての‘かりんとう’を買い、それをつまみながら生ビール飲んでしまったというミスマッチも何故か許されるおおらかさが有りました。
日本の木造建物って凄いな!と改めて感じた次第です。
Posted by masuzawa05 at 19:27│Comments(0)│
TrackBack(0)