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増澤信一郎の心模様

2005年05月31日

旅館におけるアートワーク02

 あせび野うさぎ.jpg

具体的アートワーク

一番目は造園です。 その土地の環境という大自然の造形(広義のアートワーク)に敬意を表し、壊さずそこの自然がより美しく生かせるように、多少手を加え整えさせてもらうことだと思います。

 次にその土地に生えている草や木や花が四季折々美しく咲く手助けをすること。客室の床の間や廊下や人の溜まる場所にその野花をさりげなく野に咲くように生ける心遣いが大切です。
 三つ目に部屋に飾る掛け軸や絵画ですが、季節に合ったものを用意します。
折々のものを用意できない場合は季節感の無いもので、空間の美的高まりの一助となるものを選びます。

 四つ目に壷や骨董、彫刻の類も上記と一緒ですがあくまでも時宜を得た物とします。特に骨董は場所を得た美しい空間に在って映えるものであり、埃だらけの中にあっては汚いだけです。

 五つ目に書や俳句、短歌の類はそこを訪れる人の心に響く粋な文言からなり、ただ有名人と言うのではお粗末。現代人にとっては分かりやすい意味であることも必要で、たとえ難しい意味合いの言葉であっても簡単に説明できる内容であってほしいと思います。季節感、場所を得た物であるのは当然です。

 六つ目にアートワーク全般に言えることですが、その旅館らしさを感じさせるものであってほしいと思います
 例えばA旅館ではコンセプトは山の湯宿ですから、入り口は荒々しい木のドアーで、一部に白漆喰を塗りそこに吉祥思想に有る兎を墨で書きました。
 B旅館ではロビーの壁に備長炭を市松模様に埋め込みました。空気の清浄感と柄の面白さが印象深いと評判です。
予算の一例
A 旅館(延べ床面積770坪、客室19室、収容60人)
 総工事費     ;750,000千円(100%)
 内訳
 建築関係     ;600,000千円(80%)
 造園       ; 20,000千円(2.67%)
 館内表示及び装飾品;  4,500千円(0.6%)
 什器備品開業準備費;125,500千円(16.73%)



最後に
 旅館の構成要素としては環境・施設・料理・サービス・温泉が大切です。それに品格と人間を加えたいと思います。どんなに建物が良く出来ていても、建物と人間が一体となって醸し出す上質な空気が大切で、品格の漂う空間でなければなりません。
 飾り物・置物一つとってもそれが大切であることは言うまでもありません。


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心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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