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増澤信一郎の心模様 石井建築事務所ブログ

2015年12月28日

建築賞・その5

2015年 中部建築賞ノミネート作品の住宅部門の現地調査をした。

◎Arakabe(あらかべ)
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 杉の素地板とガルバリウム鋼板で包まれた外観はシックである。 (杉材はメンテナンスを考慮して一階のみに使用している)
 上部二層にわたるキューブ状のガルバリウムの外壁が聳える佇まいのもと、一階に下屋庇が水平に仕切り、全開放できる木製大型サッシュを介して、ウッドデッキとその先に緑の芝庭が拡がる。伸びやかで内と外のつながりが豊かである。
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 内部は版築(はんちく)と竹小舞の土かべを背負った、暖炉のある吹き抜けの居間とダイニングを核として部屋がつながり、台所を中心にしてバックヤードやパントリーのサービス動線が縦横に走り、なおかつカウンター越しに部屋のつながりが一望でき、空間の人の動きや気配をつかめる空間配置は巧みである。
 冬場、居間の土かべは真南の日射を受け蓄熱し、暖炉の熱とともに快適な暖かさを生み、反面、夏場は吹き抜け上部のシーリング・ファンの上昇と下降気流の制御、排気ファンの助けを借りて省エネに貢献している。インテリアの雰囲気としては伝統的な素材を使い、奇を衒わない落ち着いた感じがいい。オーソドックスで使い易い住まいである。
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 土と人の “ ぬくもり ” が吹き抜けを介して縦横に ‘ たゆたう ’ 住まいである。


●居間のレイアウトがこなれていないとの意見があり、入賞までは行きませんでしたがめでたく 入選です。
  

Posted by masuzawa05 at 06:00Comments(0)

2015年12月21日

建築賞・その4

3年前より建築士事務所協会からの出向で建築賞の審査員をしている。審査員は8人居て、その内5人が学校の先生で、設計関係の建築家は私を含めて3人である。
2015年度 中部建築賞ノミネート作品の内、交通の至便さと興味の関係から静岡県内の3件の現地調査をした。

中部建築賞は中部地方9県 愛知、静岡、三重、岐阜、滋賀、福井、石川、富山、長野の住宅と一般建築の二部門で、それぞれ10作品程度を顕賞するもので、入賞、入選、特別賞に振り分けます。入賞が一番よい作品です。

◎san grams(さんぐらむず)
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美味しいお茶は3グラム程度で、心を入れていれるという。だから 「 san grams 」 。お茶屋さんとしての、小さな自己主張を込めた店名の謂(いわ)れを聞いた。
 お茶の販売、試飲、喫茶、レストランを兼ねるシンプルな外観のこの店舗は、両脇を耐震のコア壁で固め、長辺方向は透けたガラス張りでまとめた、緑の風が吹き抜ける明るくスタイリッシュな設えは、在来木造を感じさせない秀逸なデザインである。
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商店建築としてのファサードは、ワイヤースクリーンとし、圧縮を負担する桧の角材と、ステンレスワイヤーに依る引っ張りで構成し、9Mスパンの軒先の垂れ下がりを解決するという、2Dテンセグリティーを採用している。構造すなわち意匠となる建築の本道に沿った解決策が見事であり、ややもするとスダレ等で軒先を飾る安易な方法は敢えて採らず、深い軒先を正攻法で攻めたとこがいい。
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内装、家具、外構(庭園のみ別途)を含め約73坪の建物を\5,000万で収め、ファサードスクリーンは、その内僅か\200万程度というコストコントロールは見事であり、まさしくリーズナブルである。
帰り際再度振り向いてみると、茶柱にも似て浮遊する “木ブロック” が軽快で爽やか、全体のフォルムは静岡茶のように芳(かぐわ)しく、かつ凛として美しい。

●私(増澤)は気に入ったのだが、軒先の垂れ下がり防止策としての効用が・・・・・?なおも食い下がり、“ 美しさ ” も入賞条件だと述べたのだが・・・・・・・・!?8人の審査員の内6人の反対が有り惜しくも落選でした・・・残念!

 後日表彰式に審査員長の新居千秋先生からこんなコメントを頂いた。

審査員の増澤氏から 「 ‘ 美しい建築 ’ を選んではいけないのか 」 という質問が出た。それは建築の何を持って評価すれば良いかという事を私に問いかけた。
 「 私は以下のような基準で建築を評価しているが、彼のこの素朴な疑問にもいつか答えようと思った 」。

1 コンセプト、プログラムがしっかりしていて実際の建物になっても、それが継続しているかどうか。
2 人が集まったり、居心地が良い雰囲気や空間になっているか。
3 形のための形を目指すのではなく、デザインの基本形が形(shape)ではなく、型(form)に置かれていて、出来上がった建物にそれを感じるか。
4 構造までアイデアが至っているか。環境やエネルギーを考慮しているか。
5 身体性(somethtic)が感じられるか。

 先生は4年間の任期を終え、次は栗生さんを審査員長に推薦されたとのこと、新居さんとのいい思い出が残った。私の任期4年も後1年、次期審査員長との邂逅を心待ちにしている。
  
Posted by masuzawa05 at 06:00Comments(0)

2015年12月14日

アドック 篠原さんとの思い出

石井建築事務所の建築装飾を長きにわたり手がけていただいた芸術家の篠原さんが、今年7月(67歳)病気で亡くなられた。春先3月 熱海『 せかいえ 』 の現場でお会いした時に突然病気の事を告げられて、愕然としたのだが、そのうちゆっくり話でもできるだろうと暢気に思っていた矢先の訃報だった。 残念だ。

 いつも仕事をお願いする時に、おまかせにせず、私なりに設計者としての考えを告げていたわけですが、増澤さんは 「 具体的なイメージを提示してくれるので助かる 」 といつも言ってくれていた。
そんなわけで、芸術家として自分のセンスを押し付けるのではなく、私なんぞの思いつきでベラベラ喋った内容をよく咀嚼してより良い形に組み上げてくれる得がたい人で、デザインについては阿吽の呼吸、以心伝心であった。

今思えば、もっと自由にやりたいようにやりたかったこともあっただろうと思うと、申し訳なさと共に寂しさと刹那さがこみ上げてくる。

◎現場ごとの思い出に残る事柄をあげて追悼の意としたい。


◎茶寮宗園(宮城県仙台市秋保);

かれこれ四半世紀以上も前に手がけた露天風呂付き客室のはしり。
土と木と和紙で作るシンプルな低層・数奇屋風離れの温泉宿です。
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●玄関寄付きとラウンジを仕切る和紙装飾の屏風です。古くなればなる程和紙は良くなりますよと言っていたのが印象に残っています。

その後和紙の魅力に惹かれ福井の和紙問屋まで一緒に旅をし、美味しい蕎麦をいただき、夜は神社の祭礼に参加して、山に上ったりもしました。

ちょうど、和紙芸術のデザイナーとして近年有名な堀木さんのグループも紙漉きに来ておられ、大判の和紙に挑戦していて、夜は山行にも加わっていました。

早くから和紙に着目して、建築に応用された篠原さんの先駆者としての功績は大であると思われます。
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●大広間のひのき舞台の壁を飾る杉板への截(きり)金(がね)細工です。本来能舞台ならば定番は老松の絵ですが、それでは面白くないと、ここでは山なみと雲を表しています。
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◎愡魁,笋泙函弊轍県 伊東市);

十数年前の作品です。クラシカルな伝統和風と現代性を兼ね備える宿を 「 丘の上の花鳥風月 」として表現しました。
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● L形平面に曲がった二層吹き抜け空間のラウンジを照らす照明です。クラシカルな和の造作に包まれた空間に上品な明かりが灯ります。ここでは照明器具にチャレンジしてもらいました。
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◎季一遊(ときいちゆう) (静岡県 南伊豆 弓ヶ浜);

南伊豆の 青の川 の河口の砂洲に佇む宿です。

キャッチフレーズは 「 ハワイより弓が浜 」 白砂青松の弓ヶ浜に佇む、温泉と浴衣で畳に寛ぐビーチリゾートの宿。
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● ここでは照明器具とメタルスクリーンとエレベーターのドアーの意匠に挑戦してもらいました
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◎ あせび野 (静岡県 伊豆市 湯ヶ島)

 あせびの木が辺りに群生している、谷あいの川に面した、
「 川底から湧く源泉かけ流し “ 山の湯宿 ” 」 です。
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● 古木ドアーの裏表に、白漆喰と黒漆喰を塗り、玄関ドアーを作りました。

 「 増澤さん白漆喰に絵でも描かれたらどうですか 」 と言われ、ノリやすい私はその気になって、吉祥思想のいわれのある兎を毛筆で描かせてもらいました。唯一の共同作業でした。
( 吉祥思想における兎は、最初は処女のごとく貞淑で、走り出すと脱兎のごとく足を伸ばす縁起の良い動物と言うことです )

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◎ 滝の家 (北海道 登別温泉)

  「 静謐なる刻(とき)を求めて 」 雪深き登別の温泉宿です。
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● 敷地に自生していた神木を利用して玄関ドアーと、氷をイメージしたガラススクリーンを作りました。
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●おおいなる人間関係に支えられ、今までに細かいものを含めると数限りないほどの作品を手がけてもらいました。

寡黙で多くの美しい芸術的選択肢を持ち合わせていた、篠原さんへの断ち切れない想いとともに、残された者としてこの言葉を贈ります


『 そのあと 』

そのあとがある
大切なひとを失ったあと
もうあとはないと思ったあと
すべてが終わったと知ったあとにも
終わらないそのあとがある

そのあとは一筋に
霧の中に消えている
そのあとは限りなく
青く拡がっている

そのあとがある
世界に そして
ひとりひとりの心に


走馬燈のように巡る思いに涙し、哀悼の意を捧げ、冥福を祈ります。 合掌。  
Posted by masuzawa05 at 06:00Comments(0)

2015年12月07日

いろいろなこと

●近頃、自分の顔が亡き親父の顔に似てきたと思うことがある。

女房は 「 だけどお父さんのほうがあなたより背も高いし、スタイルも良く、素適だった 」 と言う。
父のことを褒められると悪い気はしない・・・・。

私自身がその父に似てきているのだから。と、思うことにしている。
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●近頃、TV等で見る有名人が、昔感じたほど歳が離れていないことに気がつき愕然とすることがある。

え、この人二つ上なんだとか、同い年か!?とか、 どうしてだろう・・・。早くから知っていて、当時から老け役をこなしていたからか、勝手に年寄りと思っていただけのことだろうか・・・、どうなんだろう。

 冷静に人となり・年の功を計れるようになった。と、思うことにしている。


●近頃、伊東市宇佐美区の桑原町内会のゴルフ同好会に参加している。月に一回年間十二回やることになっている。

小学校時代の同級生が会計を担当していて、ガソリンスタンドのお兄さん経由で誘われたのだが、会長は76になる左官屋のオヤジさんでなかなか上手で、70台で廻ってくる。

職人さんや、リタイヤした学校の先生や農業者、本業の傍ら新聞配達をしている元気な年寄りや、役所を定年で辞めプロのキャディーをしている人。いろいろの職業・年齢層の人がいて面白い。
しがない設計士である私から斜に構えてみてみると、特に土建屋の社長や、型枠大工、鉄筋屋等、おしなべて職人の親方は、昔悪ガキだったようなタイプの人が多く、そのまま子ども時代を引きずって大人になっている。地方の建設会社の社長は国産高級乗用車、職人の親方はベンツが多い。ちょっと生意気な社長はBMW。人生後半に差し掛かるとそんな人間模様を眺めるのが面白い。

ちなみに周りを見渡すと、大工の息子は建築設計士になっている人が多い。棟梁はせめて息子には一級建築士になってもらいたいのだろか!? それとも息子の方で親を見て設計士を目指したのか?!

この会の会長である左官屋のオヤジさんは、先日もっと大人数である区単位の宇佐美会のゴルフで、ベスグロと優勝をかっさらって、お米60Kgと副賞をもらった。桑原会としては頼もしい限りである。
その後の桑原会では私と同スコアのNET68であったが、私より9つも年寄りであるので、ここでも優勝に輝いた。表彰式と一杯会は同級生のやよいちゃんがやっている居酒屋 “ やよい ” で4,500円で飲み放題である。

そんなわけで、負け惜しみがてら年長者に勝ちをゆずったのはいいことだ。と、思うことにしている。その後のリベンジでメンバーに恵まれグロス85で回り、ハンディー16だからネット69で優勝して、近くのスーパー長屋の5,000円の商品券をゲットした。

○伊豆スカイライン亀石に向かう登り道から見た、早朝の我がふるさと宇佐美湾。小さな手石島と奥に東京都の大島が見えます。山紫水明、ふるさとはしっとりとして豊かで美しい。

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●最後に 近頃、時たまだが、グズグズに酔っ払ってしまうことがある。

特に気の置けない仲間との “ いっぱい会 ” がヤバイ、いかんいかん!!

重い責任がある仕事の呪縛から多少解き放たれ、心を自由に泳がせているからだろう。
と、思えるが、心と一緒に体も泳いでしまったらマズイ。
  
Posted by masuzawa05 at 06:00Comments(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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