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増澤信一郎の心模様 石井建築事務所ブログ

2012年11月27日

上村松園 IN 国立近代美術館

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◎ 私は 
「 一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵 」 
「 真・善・美 の極致に達した本格的な美人画 」 を描きたい。
            
*清澄(せいちょう):清くすんでいること 


○ 母への追憶:

 「 私は母のおかげで、生活の苦労を感じずに絵を生命とも杖ともして、それと闘えたのであった。私を生んだ母は、私の芸術までも生んでくれたのである 」



● 私(増澤)結婚したての頃、家内が分厚い美人画の本を買い求め 「 私、この人
の絵が好きなの 」 と言ったのを覚えていて、当時ざっと目を通したのだが、おどろおどろしい絵も有って、その良さが判らなかった。
美術展に行くことを告げると、この画集を見て勉強してから行ったらと、差し出されたのだが、本物を見てみて、齢を重ねた自分の美意識を直接感じたいと思い、見ずに出掛けた。



○ 焔( 生霊を描く )

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 *注: 松園によると 「 〈 焔 〉 は私の数多くある絵のうちの、たった一枚の凄艶な絵であります。 中年女の嫉妬の炎・・・一念がもえ上がって炎のようにやけつく形相を描いたものであります(中略) どうして、このような凄艶な絵を描いたか私自身でもあとから不思議に思ったくらいですが、あの頃は私の芸術の上にもスランプが来て、どうにも切り抜けられない苦しみをああいう題材にもとめて、それに一念をぶち込んだのでありましょう 」
        *凄艶(せいえん): ぞっとするほどあでやかなさま。



○ 母子

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○ 草子洗小町

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 * 謡曲の 「 草紙洗小町 」 が題材: 歌合せの席、小野小町が、古歌が書かれたという草紙を洗うと墨が流れて、相手の大友黒主が、小町を陥れようと仕掛けた計略が白日のもとにさらされる。金剛巌の舞台姿から着想した本作には、松園が能楽に感じる 「 緩やかなうちにキッとした緊張がある 」 簡潔の美が、無駄のない線と彩色の高い技術によって表現される。能の本質に迫って一糸乱れぬ大画面の緊張感は、比類がない。


 
○ 新蛍

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● 口紅の赤がなんとも艶かしい。



○ 牡丹雪

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○ 若葉

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○ 夕暮

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○ 晩秋

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● 清楚な美しさに圧倒され、そして思った。生活の苦労(?!)もなくひたすら画業に打ち込むと、こんなにも透明な美しい色彩の絵が描けるのか。これは神の業だ。

巨匠の作品にいつも見られるデッサンの素晴しさ。我々も建築プランの際にいろいろ描きこむのだが、当然のことながら明らかに負けているし、習作の数と密度が違う。デッサンに秘めた力強さが作品を決定付ける。 建築も『 発想+デッサン 』 そこが肝心なのだ。

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 ● 会場を巡りイヤホーンで解説を聞きながら腑に落ちたことが一つあった。昔の女性は眉を剃り、剃り跡が青く残る。絵におけるその色が松園独特の青だという。又、二三の女性に見られる狂女の姿態や絵心に秘める嫉妬心を学ぶため、精神病院の女性を観察しに出掛けたとありました・・・・・ 凄まじき 絵執念。

かつて私が感じた “ おどろおどろしい感じ ” は剃り跡の眉の青と、狂おしい怨念の表情が、幽霊っぽい気味悪さにつながったのでしょうか。 

作品 「 花がたみ 」 は思い人を慕って錯乱状態となり舞い狂う姿を取り上げている。
私も二十台の頃でしたから、画集から散見される気味悪さだけで判断していたのかもしれない・・・・・。

ただ、今は表情にみる心のありようがかすかに読み取れるようになった。



私(増澤)思いますに、しなやかな表情に表れる 『 険(けん) 』。 まこと、怨念というか、執念は女性に宿る。 それが松園の真骨頂か。
  

Posted by masuzawa05 at 21:05Comments(0)

2012年11月19日

ホキ美術館

日本で唯一の写実画・美術館である。 ( 日建設計、施工大林組 )

一見シンプルなプラン。緩くうねった三層の細長い平面通路空間 ( 延長500m )を行ったり来たり。作品の大きさに合わせ鑑賞の為の引きを取るため、内装で蛇のお腹のように膨らませたり狭めたりして視点を決めている・・・・・。最上階(1階)は鋼板製のボイドな空間で三十数メートルのキャンティレバー、まるで工事中の橋梁のようだ。

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沢山のLED照明と穿たれた丸い穴のエアコンと排煙口。シームレスな壁に写実絵がマグネット仕掛けで張り付いている。巨大な美術館という腸の様にうねったマシンの中を知らず知らずのうちに歩かされている感じであるが、所々にある穿たれた窓と北側からのトップライトからのあかりが建築空間に引き戻してくれる、不思議な体験。

苦労したであろう設計者のディテール論は聴くほどに疲れてしまう不思議、そこまでやるかと時に傲慢さを感じるのは私だけであろうか。

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● 造園・外構に見る伸び放題の雑草は、あえて作り込んだ庭としないで、近くに在る昭和の森や、道路際の雑草の種を3種類程選んで蒔いて、自然のままの植生にまかせたとのこと、メンテナンスフリーのこのやり方はよく分かる。唯一植栽らしいひょろひょろとした桧はそのうち太くなり周囲や雑草と溶け合うでしょう。



◎ 写実画いろいろ:

○ 木霊の囁き

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○ 袋田の滝

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○ 光る海

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○ 陸に上がった舟

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○ VIST DE NAJERA

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○ DORSETの海

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○ 裸婦

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○ 紗

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◎ 設計概要

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● 写真と見紛う程の精緻さ、それ故に一作品に一年も掛かるという。よく見れば描いてある。
光 ( あかり ) を色で表すテクニック、フェルメールに通じ、写真に通じているが、どちらかといえば写真的で、フェルメールとは似て非なるもの。
写真も絵画も光を通じ、感情を媒体としてつながっている


● 実物らしく描くことの中に込める画家の芸術性については今の私にはよく解からない。しかしながら、黒板のある絵の白墨を手でなぞる人が後を絶たないとの保木館長の説明が、やけにリアリティーをもっていた。

建築について、あの形やつながりながら伸びる展示空間に拘るあまり、拡がりであるとか、溜まりであるとかが必要な箇所(レストラン、レクチャースペース)等は 『 蛇が獲物を飲み込み膨れた腹程のスペースに過ぎない 』 と物足りなさを思うのは、建築家的思考からはあまりにも一般的過ぎるだろうか。

設計者は溜まりを排し、淡々と写実画の世界に引き込む意図を述べておられたが、作品ゆえの元々の意図なのか、それとも熟慮の末の割り切りか・・・・・!? 

オーナーの意図を汲み取ったその後は、構想の “ 形 ” に従い淡々とマイペースでデザインが進められた様に思える。

写実画の鑑賞という点からは意図は達しているが、場所柄ここまで出掛けてくる美術館なのだろうか? それ故に建築のひねりに負うところが多いのだろう。

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● 折り返し歩くフロアーのチェンジが長い歩行距離を癒してくれる。誰でも設計出来るというものではないところがある(構造、設備、知名度、組織力、予算)。
オーナーとのつながりの中で、雑多な要求を聞きこなし、最後はマイペースの作品に仕上げるところはさすがだ! (この作品は2011年 JIA・建築大賞 受賞)

  
Posted by masuzawa05 at 10:23Comments(0)

2012年11月14日

 映画 「 最強のふたり 」


 フランス映画である。英文タイトルは 『 UNTOUCHABLE 』 ・・・!?

 誰も手がつけられない・・・ふたり、 こんな意味合いでしょうか。

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◎ スラム街出身で無職の黒人青年ドリスと、パリの邸宅に住むハンディキャップのある大富豪・フィリップという、なにもかもが正反対の男たちの実話に基づいた物語。

 ふたりは、事故で首から下が麻痺したフィリップの介護者選びの面接で出会う。他人の同情にウンザリしていたフィリップは、不採用の証明書でもらえる失業手当が目当てというフザケタ態度のドリスを採用する。
その日から相入れないふたつの世界の衝突が始まった。クラシックとソウル、高級スーツとスウェット、文学的会話と下ネタ話・・・。だがふたりとも本音で生きる姿勢は同じだった。互いを受入れはじめたふたりの毎日はワクワクする冒険に変わり、ユーモアに富んだ最強の友情が生れていく。

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● 私欲のない能天気な介護人ドリスの荒削りな本音のあしらいに、障害者大富豪フィリップの心がなごんでゆく。

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● フランス人の ESPRIT ( エスプリ:機知 )をみた。

ともかく、教訓めいたものは何もない。お互いの裸の付き合いに、心が洗われる。

知性のあるお金持ちと無教養、不自由な体と飛びぬけた体力、思索の日々と卑猥な冗談の乗り。 ・・・ 本音がぶつかり合い、心と心が溶け合う

粋でオシャレ、見終わった後がひたすらさわやか、それがいい。お薦めの一作。

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Posted by masuzawa05 at 10:31Comments(0)

2012年11月05日

バリ島研修旅行

日本の宿でも、レセプションでいったん受けてから、外部を歩いて客室に至るコテージスタイルの旅館・ホテルが増えてきている。

そんな訳で今回4年ぶりの社員研修旅行はバリ島、内陸部ライステラスの在るウブドのホテル・クプクプバロンと海岸線のブルガリのホテルを研修してまいりました。

おかげさまで今年の春、会社は創立55年を迎えることが出来ましたこと、お引き立ていただいた皆様にこの場をかりまして感謝申し上げます、ありがとうございました。


◎ クプクプバロン

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○ 水盤上のダイニング席兼、フォーカスポイント

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○ プライベートプール付客室

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○ 南仏プロヴァンスのロクシタンのエステと朝のヨーガ会場です

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● エステはマッサージの強めを選択したので足のふくらはぎが痛く旅行中閉口しました。
● 初めてのヨーガはもともと体が硬い私にはきつく、一時間二十分が二時間ほどに感じました。普段使っている筋肉と正反対の筋肉を鍛えると、バランスが保てるのは解っていますが・・・・・自分の体って思うようにならないものですね。皆後ろのほうでやっていましたが、どうも体が硬い私の一挙手一頭足を見てほくそ笑んでいたようです。

これを機会にこれからヨーガに挑戦してみようかと思っています。


◎ ブルガリホテル

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○ 客室・エントランス

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○ エントランスと客室を繋ぐ中間帯にあるオープンエアーのリビング

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○ 客室と水周り

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○ 海、ダイニング

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● 私(増澤)、以前から旅行中に出来るだけ下着は自分で洗って干すようにしています。

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 ホテルには洗濯の無料サービスが有る場合もありますが、下着程度は他人の手は煩わしたくないと思っていて、以前娘が中学生の時二人でバリ旅行をした時、娘が洗濯しないので、なぜかと聞いてみると、日数分の下着は持ってきているからとの返事でした。数は有っても一応下洗いしたものを持ち帰ったほうが母親にも気分がいいだろう! というようなことをその後言った事がある。靴下・パンツ・シャツ・Tシャツ・ハンカチ程度なんですが・・・。短期滞在ではバスルームでは乾きづらい、燦燦と降り注ぐ南国の太陽に当てたいので、こんな景色になる。陽だまりに目線を隠したちょっとした物干しスペースが欲しいと思っている。

 そんな事があってか、娘は最近旅先で洗濯するそうで、友人から不思議がられるそうです・・・・わが家の未来に残すべき良い習慣であろう!?


● 離れの客室が遠くに点在すればするほど、バギーカーでの送迎が日常化し味気ない気がする。他に何か良い移動手段がないものかと思う・・・小型で良いデザインの電気自動車の登場が望まれる。
それと共に急坂道でないかぎり、バギーを使わなくとも、良い景色を見ながら楽しく歩ける外部空間 ( 途中に小粋な東屋などが有り ) の創出が必要であろう。

 又、客室のプライバシーが主体になるあまり、 レセプション・ロビー・ライブラリー・様々なレストラン・ショッピング等のパブリックの陣容と楽しさ、個性的なレイアウト、相互のオリジナルな取り合いが省かれているように思えてならない。 
( 台湾・台中のホテル “ ラ・ルー ” は玄関アプローチこそ貧弱だが、パブリックの構成等は良く考えてあるし、中華料理は旨い )

華やぎのスペースが有って、やや離れた処に付かず離れずのいい案配で、プライベートな客室が展開している。そんな感じがいい。

 適度な客室への距離と、自然景観の提供、心楽しくなるパブリックスペースのレイアウトが大切であろう。そこにおける複合的な空間デザインがそのホテルのグレードとオリジナリティーを評価決定付けるポイントかなと思った。


● 食事について朝食はともかく、夕食のグレードが低いのが気になった。日本のこのクラスの旅館の質・量に比べると見劣りする。和食の影響なのか、ままごとの様なチマチマしたミニ会席風イタリアンやフレンチでは何を食べたのかも忘れてしまう。
野菜・魚・肉、自然な素材を一、二点ダイナミックかつ繊細に調理、提供してほしい。
日本料理は見た目、それぞれにこぢんまりとしているが、味わいはダイナミックである。それゆえにチマチマ感は許されると思っているが、身贔屓か。

厳しい我々の舌に耐え抜き、演出された日本に於ける各国のレストラン料理に慣れた身には物足りない。

又、バリ・エスニック料理にも、もう一工夫ほしい。これが郷土料理だ! だけでは物足りない、郷土料理の枠内でのバリエーションがほしい。


● バリは神々が住む島ではあるが、観光ズレしてしまって、あれでは神も辟易していることだろう。 道路サイドと建物との間のセミプライベート空間をもっときれいにし、そしてその場所に豊富な水の流れと植栽を配する余裕が欲しい。

● バリは俗化され過ぎてしまった・・・なんだろうか・・・日本の先進観光地に見られるある種の退廃ム―ドに通ずるものがある。

● これからはむしろ、ベトナムやミャンマー、タイ、スリランカの方が面白い。


再び日本に目を向けてみると;

● 離れ島が多く、温泉が湧き、山紫水明、豊かな食材と安全とホスピタリティーの有るわが国は世界一の観光適国であると再認識した旅でした。


● 私が所属する国際観光施設協会の季刊誌 「 観光施設 」 10月号・紅葉に佐野桃子さんのこんなインタビュー記事が出ていました。 (マーサさんのホテルを選ぶ基準を紹介しています)


○ マーサ・スチュワートさんの好きなホテル;


きちんとした挨拶で迎えられること

ベルマンが注意深いこと

部屋が清潔であること

窓からの景観が良く、自分で窓を開けることが出来ること

正確で早いルームサービスが受けられること

最上階にプールがあること

案内されて部屋に入ったときにカーテンが全開されていて、広々とした眺めがあること

枕元にミネラルウォーターが無料で供されていること

*( 安全で、清潔、もてなしの心遣いがあり、景観に配慮されている )



● 私(増澤)思いますに、堅苦しくなく、具体的で・的確な選択基準であろう。
  
Posted by masuzawa05 at 10:58Comments(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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