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増澤信一郎の心模様

2012年10月29日

愛野めぐみ教会 見学会


 二年ほど前に、JIA東海支部・静岡会で初めての教会コンペを実施し、その完成見学会に行ってきました。当事務所も参加したが落選した物件である。
当初の8千万の予算が、コンペ以降変更になり工事費が5千万にダウンした。当選以降、ゼロからプランを考え直したという作品に興味があったからです。

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 見学に先立ち設計者の趣旨説明があった:

「 当初からのコンペの条件が変わったので、本来ならば一から出直す筈であるが、JIA側から人(設計者)を選んだのだから、そのまま続けていいと言われたので続けた 」との弁。多少の心苦しさがあったのだろうと理解できる、正直でいい。

( 本来コンペは作品を選ぶものではないのか? もちろん作品は人なりであるから一体のものであるのは分かるのだが・・・それならばプロポという手もある。 )  
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◎ 上の図はプランです。 単純なプランであるが、軒の出の小さい5つの高さの違う切り妻屋根が陸屋根の通路で中庭を介して結ばれて、離れ家の様で立体的に変化に富んでいる。少ない予算の中であれやこれやとやりくりしたであろう、うまくできている。


● 私(増澤)思いますに、

駅に近い線路際の立地で隠すべきは隠し、遮音に配慮し、見せるべきは見せていやらしさが無い。白を基調とし、光にあふれ、爽やかな風が吹き抜ける、設計者の愛に満ちた教会が出来た。

VAN・アーキメディアの小塩康史さんに賞賛の拍手を送りたい。
 
多分少ない予算の中で、手と気を抜かず、親切丁寧に作る姿勢には頭が下がる。こういう建築家が居て、建築の質が保たれるのであろう。建築は人柄である。

 当初の当選案を知っている私としては、そのことをここでは云々せず、これはこれでアットホームな親しみやすい教会が出来て良かったと思っている。

 ただし建物内部、収納が少ないせいか私物や雑物が散逸しているのが気になった。使う人たちの収納センスも同時に問われるし、合わせて地域に開かれた教会になるためには、信者のエゴを捨てた公共性の空間が先行し、併せて、祈りの場があるという形になれば素晴らしいと思っているのだが・・・認識違いであろうか。


○ 外観写真

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○ 礼拝堂

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○ 会議室

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○ 牧師室

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○ 事務室

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○ 読書スペース

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○ 母子室から望む礼拝堂

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● この教会コンペの後、JIA主催で二回目のコンペ(掛川協会)が行われ、当社も最終選考まで残ったのだが惜しくも落選した。

 JIA本会の選考委員長は二次審査の前にこのコンペは人(設計者)を選ぶためのコンペであると言ったという。コンペは図面等を通しての作品を選ぶのではなかったのか? という当然の疑問が私の中で湧きつつある、JIA側の公式見解を聞きたいものだと思っている。

 このコンペで石井建築事務所は教会が教会である前に、地域に対していかに開かれた共用空間であるべきかを問うたつもりであったが、そのことよりも祈りの空間である礼拝堂の精神性や、仲間うちの使い勝手への意向、パーキングスペースへの面積の確保等々が強く流れているように思えてならなかった。
 それはそれで致し方ないことなのか・・・!? 開いているようで保守的で、自分たちの世界に入り込んでしまうと、教会は信者という仲間・家族のホームでしか成りえず、それ故に高齢化と信者の減少に歯止めがかからなくなる・・・のでは! と勝手に危惧する私です。

 掛川教会での私どもの案は、道路に近い敷地の一階に開かれたパブリックスペース(集会場)を設け、自由に使っていただく様にし、その二階に牧師の家族の居室を、そして吹き抜けのホールを介し奥まったところに礼拝堂を配した一体の建物とした。
それぞれの機能に配慮しながらも、静謐な礼拝堂の精神性をゆるぎない形として表現した。個別でも全体でも使えるように工夫・提案したが結果は不採用であった。

 建物がそこに在ることの必然性(この表現が適切であるかは・・・?)をデザインすることが大切であり、それゆえのコンペでなければならない。掛川で考えたレイアウトを他でも採用するとは限らないが、掛川らしさが大切であろう。場所が変われば風も変わるが如く。

然しながら、あくまでもコンペはデザイン(作品)で選ぶべきであると思っている。



 今回の「愛野めぐみ教会」見学会は設計者の人柄と作品が合致したある意味 “ 良い偶然 ” の産物であったことが判って良かった。願わくはこれから着工、竣工する掛川教会もそうあってほしい。

 作品は人柄であるが、人柄が良い作品を作るとは限らない。
そう肝に銘じ、しばらくはコンペのありようと、それへの参加を様子見したいと思っている。
  

Posted by masuzawa05 at 09:30Comments(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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