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増澤信一郎の心模様 石井建築事務所ブログ

2011年03月28日

心に残る建築家の言葉・その29

   
追悼:
 東日本大震災に遭われた皆様にお見舞いを申し上げると共に、お亡くなりになられた方々の冥福をお祈りいたします。

 「自然の猛威を前にして」と題しての新聞記事を一部抜粋して掲載します。

人間はそもそも不可解で未知なもの。それを説明可能であるかのように、幻想を与えたのが近代科学だ。確かにそれは森羅万象を合理的に説明する。その意味で近代科学は無意味ではない。ただ、近代科学には限界があることを認識しておくことも必要だ。それを忘れたところに現代の傲慢が隠されている。今回の大震災はまさにその虚を突いてきたといえるのではないか。―  宗教学者 山折哲雄。

 自然の猛威を避けるには、迅速な避難という訓練ソフトであったという事実。
それにつけても、つらすぎる。


○ さて今回は 隈研吾さんです。

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 英語教育、文化重視を。そしてシェイクスピアを教えよ! と仰ってます。

◎ 「 建築の世界は言葉だけでなく図面でコミュニケーションをとれるので、いち早くグローバル化しました。今やうちの事務所では半分が海外の仕事です。建築家は建築技術はもちろん、どれだけ教養があるか、信頼できるかも依頼主からみられます。食事のときにシェイクスピアの話を少しできるかどうかだけで印象は大きく変わります 」

 「 英語教育では聖書とシェイクスピアの作品を学ぶのがいいと思います。欧州では聖書は当然のことながら宗教の軸、シェイクスピアは歴史の軸になっています。シェイクスピア作品を読めば、ヨーロッパの歴史上の節目を効率的に理解できます。宗教と歴史という二つの軸を理解できれば、英語圏の人たちの考えを予測したり判断したりするのに役立つわけで、利用しない手はないでしょう 」
                             ―新聞より



● 私(増澤)、聖書は十数年前、娘の通うミッションスクールの勉強会で毎週1回6年間
程やりました。又、英会話も海外の仕事があるかもしれないと思って、そこそこやっているのですが、オーソドックスな言い回しや、ヒアリングが難しく、心得のある所員から、 「 所長の英語は単語の羅列ばかり 」 と非難されていますが、めげずに知的な恥をかきつつ続けるつもりです。

 最近は中国語も学ばなければならない事態となり、さあどうしたものかと逡巡しきりです。
                    
隈さんの言葉は、私にとってはわかっているけど行うには前途多難な啓示です。
  

Posted by masuzawa05 at 09:01Comments(0)

2011年03月22日

写真家の感性に学ぶ・その4(ワタリガラスの神話)

   
追悼:
 東日本大震災に遭われた皆様にお見舞いを申し上げると共に、お亡くなりになられた方々の冥福をお祈りいたします。建築設計を生業とするものとして、被災地のまるで爆撃を受けたような大津波の凄まじさに、人の作った家や、工作物のはかなさを思います。
私の大学の空手道部の先輩で、全日本で何度も優勝し、大槌町で設計事務所を開業していた千葉先輩が亡くなられました。一旦は避難したものの、愛犬を自宅につれに戻ったときに津波に飲み込まれたそうです。 私、学生時代は殴られっぱなしのきつい先輩でしたが、強さの中に秘めた優しさを思うと、涙が流れます。家族の一員である愛犬に対する優しい心があだとなったのでしょうか、悔しくてしょうが有りません。
合掌し冥福を祈ると共に、人の力は小さいけれど、小さな力も寄せ集めれば大きな復興への力に変わると信じています。どうか被災地の皆様、健康に留意されて徐々に日常を取り戻せるよう頑張ってください。



● 一週間遅れのブログですが、過去から未来へと連綿としてつながる時の流れの中で、人類の足跡を辿れば、思いもよらぬ遥かな年月を経て現在があります。

 私(増澤)思いますに、気の遠くなるような長い年月を掛けて、モンゴロイドは海を渡り、大陸を下り、南米の端までたどり着いた。となると、アラスカは長旅の序章でしかない。変わらずに自然が残るこの大地は、厳しい自然ゆえの奇跡かもしれない。

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◎ 星野道夫の仕事より:

狩に行ってワタリガラスに出会うと
人々はこんなふうに話しかけたものだった
“Tseekiaat sist’ anohaattee’oyh” ( おじいさん 私に獲物を落としてください )

もしその呼びかけに答えてくれたなら
それは狩りの幸運を約束してくれる
ワタリガラスはこの世界の創造主だと言われていて
私たちにとって特別な鳥
シャーマンだった父が話してくれた昔話には
いつもワタリガラスがでてきた
それは何か特別な力を持った生き物だった
ワタリガラスの他にBit’ ohudeettaa にも人々は祈る
この意味はよくわからないが
わたしたちのいのちが頼っている何かだと思う


○ クリンギット族にとどまらず、
アサバスカン・インディアン、そしてエスキモーに至るまで、
なぜワタリガラスが創世神話の主人公なのか、
この世に光をもたらし、人間を造ったというワタリガラスとは、
人々の心の中で一体何者なのか、
私は長い間その偶然性を不思議に感じていた。
が、何かそこに物語を感じ始めたのである。
それは決して偶然ではなく、
人々はワタリガラスの神話を抱きながら、
アジアから新大陸へ渡ってきたのではないだろうか。
つまり、ワタリガラスとは、
モンゴロイドがたどった遥かなる旅の足跡ではないだろうかと。

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○ 多くのトーテムポールはすでに傾き、いくつかは地面に横たわっていた。
苔むし、新たな植物さえ生えるトーテムポールから、
消えようとする模様が何かを語りかけていた。
クマの両手に抱かれた人間の子ども、クジラのヒレの間から顔を出すカエル、
村を見守るかのように最上部に刻まれたハクトウワシ・・・・・
森の中から現れたオジロジカがその間を、草をついばみながらさまよっている。
人間が消え去り、
自然が少しずつ、そして確実にその場所を取り戻してゆく風景だった。

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○ あたりの風景が動かないので、
まるで私たちは夜という海に浮かんでいるようだった。
山も川も森も、
闇の中で世界はぼんやりとした輪郭にしか見えなかった。
夜の森から呼びかけるフクロウのように、
みえないというだけで、それはさまざまなことを語りかけてきた。
私たちが言葉少なだったのは、きっとそのせいだった。
生命は抽象的となり、すなわち根源的となった。

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○ マガモ

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○ ツノメドリ

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○ あたりは氷河と原生林に覆われ、悠久なる時の流れの中で、
すべての自然が調和し、息づいていた。
その時である、
突然、一頭のクジラが目の前の海面から飛び上がったのだ。
巨体は空へ飛び立つように宙へ舞い上がり、一瞬止まったかと思うと、
そのままゆっくりと落下しながら海を爆発させていった。

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○ ラッコ

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○ セイウチは極北の代表的な海獣だ。
外見に似合わず臆病だが、
エスキモーの舟をひっくりかえしたりするときもある。
昔からエスキモーはセイウチを狩って食料にし、脂分を取っている。

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○ シャチ

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○ ぼくは川の流れに身を任せながらハクトウワシを見続けていた。
それはぴんと張りつめた、息詰まるような時間だった。
ぼくを見つめているこのハクトウワシは、過去にも未来にも生きてはいない。
そんな時間などは存在しない。
まさにこの一瞬、一瞬を生きているのだ。
そしてぼくもまた、遠い昔の子どもの日々のように、今この瞬間だけを見つめている。
一羽のワシとぼくがわかちあう奇跡のような出来事。
過ぎ去っていく今が持つ永遠性。
その何でもないことの深遠さにぼくは魅せられていた。
川の流れはぼくをポプラのすぐ下をすり抜けさせ、
ハクトウワシは飛び立たなかった。

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○ “ サケが豊かな森をつくる ”
この土地のインディアンの言葉
南東アラスカの森を流れる無数の川は、
夏になると、産卵のため遡上するサケで埋まる。
川がサケであふれ、
はじにいるサケが岸辺にはじき出される光景を見たことがある
森の奥まで行き着いたサケは産卵を終え、やがて死ぬ。
その一生を終えた無数のサケが、川下に流されながら、
森の土壌に豊かな栄養を与えてゆく。
以上 星野道夫の仕事・本文より抜粋

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◎ 作家の池澤夏樹さんはこう述べています:

 アラスカはじめアメリカ大陸の先住民はかつてベーリング海がまだ歩いて渡れたころに、アジアから渡った人々の子孫である。それから数千年の間、彼らは二つの大陸にはなればなれになりながら、ほぼ同じ神話を保持してきた。その点に星野は心を動かされる。数千年という長い時間の腐食作用に神話が抗しえたことに意味を見出す。われわれが持っているような短いせせこましい物差しではなく、千年をあっさり跨ぐような長い物差しを持った人々を彼は敬意の目でみた。
 アラスカは、時を経ても変わらないこと、人間がいた痕跡が残っていないことに意味がある土地である。われわれは自分たちがいた証拠を残しすぎる。醜いものをあとに残すことを誰も恥じない。生まれたときに借りた世界を、自分がいた痕跡をなにひとつ残さず、借りたときのままの姿で返せるという誇りを忘れてしまった。  文中より抜粋。



● 『 片付け と 潔さ そして 良心 』

我々は否応なしに “ 後世に残ってしまう建築 ” を作っているのではないかという疑問 ( 羞恥心 ) が湧いてきた。 

むしろ “ 後世に残すべき建築 ” を作らなければならないのでは!? それ以外はリサイクルする。自然素材は土に返る。
  
Posted by masuzawa05 at 10:05Comments(0)

2011年03月07日

台湾(Taiwan)へ行ってきました


 大阪在住の建築デザインコーディネーター、有限会社・エルアイユーワークリンク、台湾生まれの龍國英氏の紹介で台北のデベロッパーに会いに行きました。

一日目は観光を兼ねて台中の日月潭 ( sun moon lake ) に在るThe Lalu ( ラルー ) に宿泊がてら、近辺を見学し、二・三日目は台北でデベロッパーとお会いして私共の宣伝をさせてもらいました。


◎ この写真は日本の建築家 團紀彦さんがコンペで勝利し、湖の岸辺にデザインした管理棟です。

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● コンクリート打ち放しの彫塑的風貌が湖畔の自然と調和して美しい。地続きの山側隣接地に香港資本のホテルが進出してくるそうです。
● 施工した建設業者はコンペ応札時、締め切りギリギリの最後に赤字覚悟でこの仕事を取ったのですが、出来の良いのが認められ、その後は仕事の依頼が沢山来ているそうで、心意気と技術力が認められて良かったですね。


◎ 宿泊したホテル・ラルーの概要と客室平面図です。バリ・アマングループのデザイナーだそうで、丁度肌寒い日でしたがデザイン手法はバリ風味・オープンエアーな感じでした。

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● なかなか上手に出来ている。バルコニーが広くゆったりしているのがいい。

しかしながら、バスタブがシティーホテル並みで、オーバー水が溢れ出て部屋内まで水浸しにしてしまう。溢れ出ないように気遣いながらの入浴は気疲れする。水回りと部屋が一体となっているのは開放感が有っていいのだが、リゾートではラフに振舞うのでそこら辺の工夫が欲しい。ゆっくり肩まで浸かりたいし、暖かい地方だから露天風呂に入りながら湖を見渡したい。


○ あたりの景色です

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○ ライブラリーでくつろぐ私です

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○ 玄関前車寄せと、池の水盤、荷運びワゴンです

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● 我々は玄関前にもっと気を使います。

低く小さく抑えて中で拡げたり、動線を振って中を見せずに内部に入ったとたんに開ける感じを演出したり、つたい歩きの期待感を高める空間を玄関前に差し込んだりもします。

 風除け室のガラス戸越しにフロントCTが控えているのはいただけない。お着きの時、ジロジロ正対して見られているのは気疲れする。人の心理はそんなものでしょう。
 フロントカウンターは視線を振った位置に設け、曲げた動線の先、此処にしかない雄大な湖の自然を真正面に見せるべきでしょう。

 ちなみに、見せすぎは品がなく、隠しすぎは卑しい。隠し過ぎず見せる、まるでどこかの踊り子のようですが・・・・・、そこはそれその辺の塩梅が大切です。


○ 台湾名物、この地のうまい紹興酒と共に夕食を美味しくいただきました。テーブルセッティングです。メニューはすべて台湾生まれの龍さんにお願いしました。

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一、 前菜の三種盛り

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一、 豚の角煮、このパンに挟んで食べます

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一、 ニラの様なネギの様な ニラネギの炒め物、うまい。

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一、 野菜の煮込み鍋

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一、 トウガンの様なキュウリの様なスープ煮

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● 見ての通りのうすいグリーン、そんな味わいで胃袋にやさしく・さわやか。

一、 野菜と肉の入ったチャーハン、混ぜご飯、炊き込みご飯を足して三で割ったような食感。固めのおじやの様でもある。

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● これ絶品、締めとしてお腹に優しく馴染む。野菜としてのご飯を感じさせる。


○ 朝食のブュッフェスペースです

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◎ 台中の新幹線駅に向かう途中の道路で寄り道、ペーパードーム(Paper Dome)中国名 紙教堂です。神戸の震災の際、建築家 坂茂さんが作った教会を移築したものです。

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○ 上掲の昼景と内観です

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◎ 台北のデベロッパー 「 中泰建設機構 」 の会社に向かうべく、台中から新幹線を使いました。所要時間50分です。(現在台北〜高雄間に新幹線が開通しています)息子さんの李さんにお会いし、石井建築事務所を売り込んできました。 

ご子息のお父さんの会長さんが私どもで鳥羽に設計した 御宿 “ The Earth ” にお泊りいただき、気に入られたとのことで、建築デザインコーディネーターの龍國英氏を介して、お声掛けを頂いた物件です。

 丁度、台北の北投温泉に加賀屋さんがオープンし、一人当たりの消費単価・7万円位の高料金で半年先まで予約済みとの噂!? 幸先のいいスタートになりそうですが、時間の都合で今回加賀屋は見学できませんでした。

 この手の日本に於ける、大規模で綺麗な和風旅館を評して、 「 美人だけれど心がない 」 と、誰かが言ったとか言わないとか・・・。我々は、こぢんまりとして・しっとり・しっぽり・やさしく・ぬくもりが有り、付かず離れずの気配りのあるアジアンな宿を目指したい。

 私どもと龍さんは10〜30室程度の高質旅館を台湾で数多く手がけたいと思っています。然しながら現在台湾では部屋数の規制があって、民宿は5室以下、ホテルは50室以上とのことで、法改正以降の仕事になりそうです。その間わが社が手掛けた日本国内の旅館を見学していただける丁度いい時間かなと思われます。

 李さんの会社は高級マンションを専門に手掛けておられるので、数奇屋マンションも面白いかなと、完成したマンションを見せてもらいながらふと思いました。

○ これは日本の日建設計が外装デザインをした ‘ 軽井沢 ’ と言う高級マンションで、制震構造が施されています。もう一棟 “ 代官山 ” と言う名のものが近くに有ります、ネーミングに見る・・・日本は憧れの国なのでしょうか。一所帯4〜5億円するものが即売するそうです。

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○ これはオーストラリアの建築家のデザインです。

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○ これは日本の建築家 青木淳さんの手掛けたものです。

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● 高松伸さんの何か訳のわからないデコレイティブな外装の物や、團紀彦さんのものも在り( 團さんのものは一週間で完売したそうです )、日本の建築家の作品が百花繚乱です。然しながら特に高級といわれる物ほど、オフィースビル然としていて冷たい感じがしました。住まうことをもっと考えてみたい・・・・・ざっくばらんとしていて、温かみがあり、庭や内・外部がつながる味わい深いものが作れないのかと余計なことを考えましたが、国民性の違いでしょうか。

● マンションを美女に喩えるとして: 続いての感想ですが、ツンとすました欠点の見当たらない美人がいいのか、にこやかで温かで気さくな美人がいいのか、意見の分かれるところでしょうが・・・。

● 近いうちに 「 亜魂和才 」 数奇屋風 “ アジアン ” な宿や、マンションを手懸けたいと思い始めた。数奇屋建築は世界を制すと思っているのですが・・・。



● 帰りがけ足つぼと首のマッサージを受け、打ち合わせの疲れも取れ、すっきりくっきり爽やかに松山空港から羽田国際線エアターミナル向け二時間半のエアー。アジアは近く、元気だ。
  
Posted by masuzawa05 at 10:19Comments(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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