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増澤信一郎の心模様 石井建築事務所ブログ

2011年01月31日

新しい宿の形を求めて・その3


 「 行燈旅館 」 台東区に在る、モダンな感じのバックパッカー用の宿。夜ともなれば建物自体が行燈となり、世界の旅人の安らぎと道しるべとなり、光り輝きます。
一泊一室二名で8,190円、一室一名でも8,190円。全室24室。下町風情の残る一画です。
 以下は昼と夜の外観です。

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◎ オーナーのコメントを掲載させていただきました:

行燈旅館(あんどんりょかん)創業 2003年6月12日。 始まりは、私が仕事、旅を通して、「どうしたら海外の方に日本の良さをアピールできるのだろう?」と考えた事です。 今から、20年前は、海外の友人、知人、お客様に、「日本にいらっしゃい。」と言うと、決まって返ってくる答えは、物価が高い、遠い、言葉が通じないなど、マイナス要素が大半で、「行かれない」と言う答えが大半でした。私はその度に、そうではないと、日本の良さを列挙しましたが、なかなか思うように通じていないと感じました。
 そこで日本を良く知ってもらうには、どうしたら良いかと考えた末、日本にいらっしゃる方にホテルではなく、旅館に泊って頂き、日本人の生活様式を知って頂く事が理解を深めていただくのに近道ではないかと思ったのです。創業当時は新しい西洋式のホテルがたくさん出来、古い日本の良き木造の旅館は消えていく状況でした。又、旅館と言うと、一泊2食は常識で高級なイメージでしたので、大勢の海外の方に格安な宿泊料金で、ぜひ東京で旅館を建てたいと願いました。

 幸いにも早稲田大学の有名な建築家である、入江正之先生にお会いでき、設計を依頼できるチャンスに恵まれ、始めて私のアイデアをお話する際に、私の趣味である骨董品収集の中でも、デザイン、色、形どれをとっても、一番のお気に入りである、有明行燈を先生にお見せした所、先生は即座に「この行燈をイメージして旅館をつくりましょう。」と言ってくださいました。
建物はモダンで快適、快眠を守る防音に配慮し、内部には私の趣味の骨董を飾り、日本の古くからある美しい物を見て頂きたい。
旅館の名前も迷うことなく、古くから旅人の必需品である、提灯、あんどん、英語表記もAND ON RYOKANこれ以上ぴったりの名前は世界で一つ、日本で一つだと確信しました。 2005年には、光栄にも日本学会建築選奨の一作品にもノミネートされています。
また2009年1月にはポップアーティストである、ミー石井画伯に有田焼の副島工房でタイルに直筆で直径4メートルのアート作品を作成して頂き、予約制貸切風呂を全面リニューアルいたしました。

 場所は下町情緒が残り、現在都内で唯一残っている二つの都電の中の一つ荒川線、又、日比谷線三ノ輪駅より歩いて5分、上野、浅草に近く、JR南千住駅へは15分程で行ける徒歩圏内です。
始まりは、海外の方にいかに安く、かつ快適に過ごして頂くにはどうしたら良いかでしたが、現在は日本人、外国人を問わず、旅好きの地球人(バックパッカー)の交流の場として行燈旅館で良い旅の思い出を作って頂き、行燈スタッフと私も含め、多いに日本の良さを語れる場として活用していただきたいと願っています。


● 早速、写真紹介させていただきます。

○ 廊下と客室廻りです

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● ツインの部屋は畳の上に二つ布団が並べて置いてあり、ダブルの部屋は二人用の布団が置いてあります。そのものズバリです。
家庭で敷きっぱなしは、特別な場合以外はありませんが、ここではそれで良いでしょう。布団のベッド、和のツインルームですから。

お部屋に入るというプライバシーの問題が有りますが、京都の俵屋さんの様に布団を取り出して、手際よく敷いて、所作の美しさをお見せする宿も有ります。広縁があればそんなことも出来るでしょうが・・・。
 以下に、日本の室礼の一端を拙い英文併記で述べてみました。

 『 ツインルーム 』

シンプルな四角い畳敷きの部屋に
布団が二組折り畳んで置いてある
和室のしつらえは畳の上で憩う
和室のしつらえは畳の上に布団を敷いて眠る
片隅の小粋な行燈が赤く点れば、日本が香る

『 Twin room 』

This  is a simple square Tatami-mat room.

There are two sets of folding Futon on the side of the room.

In Japanese rooms, we live on the Tatami-mat.

In Japanese rooms, we sleep in spreadable Futon on the tatami-mat.

With a chic Japanese style lantern “ Andon ” lighting up the corner ,
― Now that’s what I call Japan 。


○ 置物

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○ シャワールームと貸切ジャグジーバスと洗濯機コーナーです。

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● ほかに共用トイレが在ります。

○ フロント、ロビー、ダイニングキッチンと小テラスです。

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● 朝食は300円。ロビー・ダイニング・ティーラウンジ兼用スペース脇のキッチンで供され、台所利用自由、至ってシンプル。観光目的で宿泊手段として利用するのであれば究極の宿、安価でフレンドリーなのがいい。

ちなみにホテルを維持するためには儲けが無くてはなりません。オーナー不在でしたの
で、採算性は聞けませんでしたが勝手に皮算用すると、
ルームレートと24室と365日と稼働率で年間売り上げが出る。人件費・ランニングコストetc。稼働率さえ良ければ、返済を考慮しても十分採算に乗ると思われる。(他人の家計簿を覗くようで御免なさい)
これで温泉と、もう少し広いロビー兼ラウンジ・ダイニングが有れば申し分ないが、極限の狭さが又いい。行燈をテーマに全体的に黒とグレーで統一したデザインは切り口としては理解できるし良くまとまっている。
谷中に 旅館 「 澤の屋さん 」 がありますが、宿としてはこちら(行灯旅館)の方がモダンな感じかなあと思いました。安い料金の中に良心を込めるもてなしの心はそれぞれに息づいています。

しかしながら設計者の習い性、私だったらと対抗意識がむらむらと・・・・。究極の狭さで、内と外の取り合い、浮き・透き、けはい、に日本を仕込む。
和の豊かなエッセンスを盛り込んだ空間・・・・お手本があるので超えられる。

私(増澤)としてはシェイプアップしたジーンズの似合う女性のような、白木とベージュの本当にシンプル、ライト感覚でリーズナブルプライスのグローバルな和宿を東京に設計したいと思い始めている。 

Small is beautiful!

前回同様、普段と違うジャンルの宿を見学でき、良い一日だった。帰りがけ近くの都バスで雷門まで200円で出て、家内安全・事業安泰、そして線香の煙を体にかけ、下の健康も一緒に祈りました。久し振りの浅草は元気だ! 

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これは行燈旅館さん手作りの心のこもった散策MAPです

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● 最後に一連の写真を続けて見終わって、感じたこと。

『 東京下町、庶民の生活と浅草が薫る 』 ・・・地域の名勝と宿と住民の生活が一体となり、コンセプトにつながりがあるのがいい。 いろいろの宿が有っていい。
  

Posted by masuzawa05 at 10:13Comments(0)

2011年01月24日

新しい宿のかたちを求めて・その2

 伊東温泉の稲葉旅館さんが巡りめぐって、2010年8月、「 有形登録文化財のホテルケイズハウス伊東温泉 」 として改装・新規オープンした。

 ケイズハウスは “ 安くて、便利で、快適な宿 ” をコンセプトにした本格的なバックパッカーズホテルチェーンです。

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エントランスホールとロビーです

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6割が外国人で、この比率は徐々に上がるだろうが、結構日本人も利用している。

● 画面に写っている青年は南アフリカから来た青年で2泊3日の滞在という。

ここの感じはどうですかと聞くと: きれいで、ここの雰囲気がとてもリラックスできる。
料金の事を聞くと       : 安くていい
温泉があることを言うと    : 今日来たばかりで・・・後で利用してみる。


ここは木造3階建ての古い旅館を改装したこぢんまりとした宿。ロビー回りはリホームされ、館内も内装はきれいにされている。

食事出しは無く、自分で館外のお店に食べに行くか、スーパーか近くの商店で食材を買い入れてきて、宿のキッチンで調理して食べる。さもなければ、コンビニ弁当を買ってきて食べる。

食事を提供しないので板前やルーム係りが要らないし、人件費も少なくてすむし、食材確保の気遣いも無い。エージェントも使わず、ネットでの申し込みが多い様だ。多分クチコミでやっていけるだろう。
食事への気遣いが不要なので、施設のメンテナンスを中心に、フロントデスクワークでの接遇に注心し、なによりも清潔な施設の維持管理に全神経を集中できるのが良い。そして近所の飲食店にも顔向けが出来る。

◎ 一人当たりの料金: 

ドミトリー(4~7名) 2,950円~
ツイン・ダブル・トリプル 2,950円~
DXダブル(シャワー、トイレ付) 3,900円~
シングル 3,900円~


 ホテルの設備について、パンフレットのコメント
・ 門限なし
・ 有形文化財に指定されている建物
・ 源泉掛け流しの温泉
・ 自炊可能なキッチン
・ 全室エアコン付
・ 洗濯機&乾燥機(300円)
・ 居心地のよいラウンジ
・ 趣のある川沿いの情景
・ 珍しい望楼付


● 私(増澤)こう思いました:

・ 料金が安いこと
・ 食事は付かないが自分でまちなかでいろいろ選べること
・ それなりの雰囲気があること(古い建物を生かす)
・ 地域として一度は行ってみたいところ
・ 温泉にはこだわらないが、あればすばらしい
・ 従業員は4人位、多分家族でやれる

 設備投資にお金を掛けなければ料金は安くともやっていけるのだろう。

 我々は儲けようとして、施設の構成要素にいろいろな付加価値を付け、それゆえに料金を高くしてしまっているのではないか・・・、附帯施設はあまり無くとも、リーズナブルな料金でやれる方法はないのだろうか。もっとシンプルでセンスフルな、日本的気遣いのある宿、数奇な空間処理がされたものを新築すれば、外国人も喜んで訪れるし、5,000円~9,000円位でもやってゆける。近くに飲食店が有れば食事はいらない。
高料金か低料金か二極化し、その中間に位置する圧倒的な数の宿が苦戦している。よくながめると中間的な宿は、個性の演出に苦慮しているようだ。空間は改装を伴わなくても、工夫でよみがえると確信している。メール下さい。

本題に戻って、究極のところ寒暖を凌げて、ゆっくりと眠れる清潔な部屋と寝具が有り、食事はまちに出て好きなものを好きなだけ食べればそれでいい。 ここは温泉の立派な内湯があるが、無くとも外湯やシャワーで足りる。

 
施設で感じたさわやかさをお土産に、一度原点に返って考えてみる必要がある。
次回は都会のバックパッカーズホテルを取り上げてみる。
  
Posted by masuzawa05 at 08:54Comments(0)

2011年01月17日

ザ・キャピトルホテル東急

 東京事務所との合同役員会を兼ねて、新装成ったホテルで食事会をしてまいりました。

和食に始まり、シティーホテルに和が薫るデザインは世界的な現象になりそうだ。数奇屋建築の技術そのものよりも、思想が受け入れられてきた証しであろう。
 ここでも格子や障子、内と外のつながりに数奇な和が見られる。外観とエントランス・ロビーを隈 研吾さんが監修、オフィース部は東急設計コンサルタンツ、ホテル部門は観光企画設計社の設計です。

○ エントランス、車寄せ、ホール、フロント周りです

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○ バーとラウンジレストラン

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○ 宴会場

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○ 中華レストラン

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○ 和食

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○ 客室

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● 客室で特記すべきは、間口6メーター×7.5メーターの45平米で開口部が広いことと、ガラス張りのバスルームが玄関引き戸障子で隠せること。サッシュの縦框に自然通気口が隠されていること等々、工夫が見られる。下部オフィース棟の一般的間口を2で割るのではなく6メーターに絞り込んで上部構造にしている点が特筆できる。そしてその絞込みをプール部分、Y字柱で見せ意匠としている。もちろん全体に和が薫るデザインは言うまでもない。

旅館に慣れた我々であれば洋の客室や廊下、エレベーターホールに外光と外気が導入できるようなユニークな意匠が出来るのだが・・・・。

● 以下に国際観光施設協会の「 観光施設 」 からの客室計画の資料を転載させてもらいましたのでご覧ください。

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◎ 料理について

○ 始まり

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○ 旬采

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○ 吸い物

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○ 造り

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○ 煮物

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○ 焼き物

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○ 止め肴

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○ 食事、止め椀、香の物は飛ばして

○ デザート

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● 食事は至ってオーソドックスである。魯山人の開いた星ヶ丘茶寮であればもっと大胆な料理の提供のしかたが有ってもいいと思うのだが。


 ● 先日の日経、 『 企業の強さの条件 』 というコラムに

 [ アジア資本と磨く 「 日本製 」 と題して、旅館、家電、アパレル。不振企業をアジア資本が買収し海外市場に売り込む。中国資本と日本の技術やブランドが融合する
「 メード・イン・ “チャパン” ( チャイナ+ジャパン ) 」 とも呼べる現象が広がってきた 〕 とありました。


● 1,300年前、シルクロードの終着点である奈良平城京に花開いた、日本製アジア文化の極致。今こそこちらから “ アジア的価値観の華 ” 日本の 「 和宿 」 を売り込むチャンスであろう。
  
Posted by masuzawa05 at 09:53Comments(0)

2011年01月11日

ウィリアム・モリス 展( 生活と芸術―アーツ&クラフツ展 )

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 ウィリアム・モリス:イギリスの詩人、デザイナー、思想家、アーツ&クラフツ運動の主宰者。


 1896年に没した際、医者は死因を聞かれ 「 病名ウィリアム・モリス、10人分以上の仕事をして亡くなった 」 と答えたという。



 ● 動植物や果物のプリント柄の壁紙が印象に残っていて、早速東京都美術館に行ってみた。

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◎ 順路の入り口、いちばん最初の大パネルにこう書かれていました。


役に立たないもの、
美しいと思わないものを
家においてはならない
  ―ウィリアム・モリス

Have nothing is your houses
that you do not know to be
useful or believe to be beautiful

―Willam Morris


● この文言をメモしていると、先ほどから脇に佇んでいた初老の紳士が、私が書き終えるやいなや突然話しかけてきた。 
ニコニコしながら、「 ここでお客さんの反応を見ているのだが、この文章に反応する人が多い。特に女性(オバサン)は声に出して読み、なるほどという顔をする 」 と言う。 そうこうしている間にも、フーンというような顔をして、目の前で呟いている元気そうなおばさんが居た。

「 役に立たないもの、美しいと思わないもの ( ひと ) を家においてはならない 」

綾小路きみまろの爆笑スーパーライブばりの文言と紙一重、濡れ落ち葉の私だろうか!ここでのライブな出来事にほくそ笑みながら会場をまわり始める。


○ 壁紙 「 果実 」 あるいは 「 柘榴 」

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○ 壁紙 「 うさぎ兄弟 」

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○ 壁紙 「 ローデン 」

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○ ステンドグラス ( モリスの自邸に友人が贈ったもの )

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○ 壁紙 「 デイジー 」

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◎ 『 美が生んだ実用品 』 と題して、新聞の紹介文より:

 何よりも目を引いたのは、英国のアーツ&クラフツ運動を支えた文学的な感性と伝統的な造形だ。 「 用の美 」 ならぬ 「 美の用 」 という言葉に思い至った。

 工芸やデザインは実用品の美を追求すると考えるのが普通だが、美は用の源泉にもなるのではないか、という意見を耳にしたことがあったからだ。デザインの工夫が行き届いた作品が多く出品され、手元において使ってみたいと思わせる。



 ● 私(増澤)、使い勝手を形に表わすという実践的な仕事をしていて
     
『 美は用の源泉にもなる 』 という言葉に、力強い味方を得た気がする。


“ 心を形に表す ” を標榜し、「 機能的であることは必要だが、美的な創意工夫も
大切な要素である 」 と思っている私としては、心強く楽しい美術展であった。
  
Posted by masuzawa05 at 09:31Comments(0)

2011年01月05日

2011年 新年のご挨拶


 今年も宜しくお願い申し上げます。


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世界の大きなうねりの中にあって、かつて先進諸国の搾取の対象であったアジア諸国の自立発展が目覚ましい今日この頃、日本もアジアの一員としての立場を自覚し、より良き仲間として共に歩む必要性を感じます。


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一、 アジアの中の日本を意識したデザインで世界に打って出る。

一、 世界の観光客、特にアジアの人々を日本に呼ぶことの出来る空間デザインを国内旅館で実践する。

一、 寿司が世界の食文化を席捲したように、自然と一体となることを目指した数奇屋の思想が世界の建築デザインの主流となるよう想を練る。


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● 言葉は文化である。日々の生活のなかで、正しく美しい日本語を使えるよう努力するとともに、少なくとも日本語以外に喋れる外国語を1~2ヶ国語学び、コミュニケートを実践する。

2011年1月5日  増澤信一郎。


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Posted by masuzawa05 at 09:16Comments(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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