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増澤信一郎の心模様 石井建築事務所ブログ

2010年12月27日

羽田国際線

37年前、ヨーロッパへの新婚旅行は羽田から飛び立った。暫くは成田からの海外だったが、又懐かしい羽田が戻って来た、国際線は32年ぶりだという。今回は、見学に立ち寄った。

成田は我々からすれば、一旦都会 ( 東京 ) を経て田舎へ行って、わざわざ田舎から世界に羽ばたくという、昂揚する気持ちに反するアクセスだった。
楽しみは先のほうが良いという人も居るが、昂る心に酔いながらスカッとお江戸から旅立ちたいとずっと思っていた。
周到な計画を練って水盃で旅立った海外旅行から様変わり。ハワイや中国・東南アジアが近くなり、夜遅く仕事を終えてからの海外旅行にも都合がいい。

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10月21日 丁度オープンの日に立ち会えた。感想を述べると以下の三つになる。

一、シンプルで美しく

一、COOL JAPANのさわやかさ

一、モダンな中に江戸が薫る


 大スパンの平面と吹き抜け空間の高さが醸し出すプロポーションが良いのだろうか、広さを感じないヒューマンなスケール感が心に響く。


● 私(増澤)今、なぜか須賀敦子さんのこの言葉を思い出している。

“ 足に合った靴さえあれば どこまでも歩いていける ”

軽快な足取りで好奇心の趣くままにどこまでも世界を歩けそうだ。新ターミナルに降り立ってそう思った。


◎ 江戸情緒の界隈性・・・・・いろいろ

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◎ 最上階ホールからの前後の眺め

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◎ 展望デッキ

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● 文化度を高めた先に ‘ ほっこりとした日本 ’ が光る。 
世界に向けて羽田が開かれたのは喜ばしい。



謹啓
 今年一年、大変お世話になりました。
三年ほど静かにじっとしていましたが、待ちからは何も生まれません。
来年からは果敢に攻めに転じようと思います。ご支援よろしくお願いいたします。
                 謹言。 石井建築事務所 増澤信一郎。
  

Posted by masuzawa05 at 09:19Comments(0)

2010年12月20日

クリスマス・ストーリー(カトリーヌ・ドヌーヴェの映画)


 CATHERINE DENEUVE・・・ 若くて美しい。

腰周りの肉付きが豊満になったが、年降るにつけ妖艶である。妖艶という言葉が正しいかどうかはむずかしいところだが、67歳にしてあの美しさ、周りを見渡してもそうざらには居ない。何故そうなのかは・・・見てのお楽しみ。

● 私(増澤)、男も女も美しくあることはとても大切なことだと思っている。
連れ合い、恋人、あまたの男・女、に対しての最低限のマナーだ・・・・・と。
会いたさ見たさで週末の土曜日、恵比寿ガーデンプレイス内の恵比寿ガーデンシネマに出掛けた。

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● イラストが五月みどりさんになってしまい、ドヌーヴェさんごめんなさい。
毛筆で書くと日本風になってしまいます・・・!?


◎ 片田舎の街に、クリスマスに集まる家族の物語である。

クリスマスには魔法がかかります。
退屈なつまらない街も、
ただ雪で包むだけで、まるでおとぎ話の幻想的な街に変わるのです。
それは映画の魔法でもあります。
何も特別なことのない人生も、
スクリーンで見れば、それはとても素晴らしいものに変わります。
                     ― 監督・脚本 アルノー・デブレシャン

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フランス、ルーべの街。夫婦に最初に授かった子供は、男の子、そして2年後には長女が誕生。長男は幼稚園の時に、白血病と診断されました。唯一の治療法は骨髄移植。
ところが家族の誰も、骨髄が適合せず、長男を救うため、夫婦は次男をもうけました。ところが、悲しいことに、骨髄は不一致。長男はたった6歳で天国へ召されたのです。そして運の悪い次男は生まれたときから “ 役立たず ” となったのでした。
これが、この家のクリスマス物語の始まり・・・・・。

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 それから数十年がたって、すでに初老にさしかかった夫婦。クリスマスを迎えようとするある日、妻に重い病気が見つかる。死んだ長男と同じ病気だ。彼女を救うのは、骨髄移植だけ。いったい家族の誰が母を救えるのだろう。

 母の病気をきっかけに、疎遠になっていた子供たちがクリスマスを過ごすために故郷の家に集う。子供たちのそれぞれの人生模様が展開するのだが、相変わらずの厄介者は次男。病気の母に 「 骨髄 」 を贈れるのは誰・・・・・? 役立てたのは誰・・・・。


● クリスマスには魔法がかかります:

西洋のクリスマスにおけるキリストの ‘ 救い ’ とは ‘ 役立ち ’ とは・・・・・神はただ押し黙っているだけなのに。
儒教というか仏教徒というか神徒というか、アニミズム的私にはわかりづらいが、西洋人のクリスマスに寄せる重みを感じます。

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○ 家族は劇場のようなもの:

家族とは集団の最小の単位、そして最初の集団、最初の劇場です。家族を取り扱えば、多くの俳優を集められます。家族は劇場のようなもの。各人がそれぞれの役を家族の中で割り当てられるのですが、自分の与えられた役に誰もが不満を持っています。与えられた役の仮面と、それを自分が演じるやり方と、本当の自分との間に何らかの軋みが生まれ、人物の間の緊張感が生まれてくるのです。― 監督・脚本 アルノー・デブレシャン


● クリスマスには魔法がかかり、そして町は・・・・・:

仕事柄、思いますに、
退屈でつまらない温泉町も、デザインのマジックミラーで見れば光り輝く素晴らしい劇場に変わります。
宿づくりも思い入れと、室礼と、接遇の魔法に掛ければ、何も特別なことのない空間が、おとぎ話の世界へとチェンジします。

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● カトリーヌ・ドヌーヴェ: 私風に言えば、凛として妖艶で洒脱な人。

唯一、映画の中で私生活上のことが顔を出しています。末っ子の奥さん役で男優マストロヤンニさんとの子(娘)が唯一の濡れ場と共に出ています。笑っちゃうくらいお父さん似で、パンフレットを見て役柄をインプットしなくとも映像だけでこの子だとわかってしまいました。
お父さん似が良かったのか悪かったのか、かなり角張った顔つきです。

又また余談ですが、末っ子もマイク真木さんの息子にそっくりでした。


○ 監督は彼女のことをこう述べています:

彼女はグレイト(偉大)で、ブリリアント(素晴らしい)です。  
彼女は映画狂いで、僕もまたそうです。彼女は少年みたいで、僕もまたそうです。彼女には優雅な傲慢さがあって、僕はそこが大好きです。彼女は、ただ一緒に仕事がしやすいんです。偉大な俳優で、知的な人で、とても楽なんです。そして彼女はとてもファニー(愉快)なんだ!

● 美しいなんて言わず・・・ 「 優雅な傲慢さ 」 、何とピッタシで素敵な表現だろう。・・・う~ん、とつぶやいてしまう私。

もうじきクリスマス、こんな言葉を思い出しています。

一日は白い紙
消えないインクで文字を書く
あせない絵の具で色を塗る
太く細く
時には震えながら
一日に一枚
神様がめくる白い紙に
今日という日をつづる。
  
Posted by masuzawa05 at 09:38Comments(0)

2010年12月13日

杭州・上海

 ‘ 空に天国、 地に蘇州・杭州あり ’

 静岡空港発着 杭州・上海の三泊四日の旅に行ってきました。

この空港の存続には疑問符の私ですが、伊豆半島への客足の衰えと、不景気を払拭すべく相互訪問ツアールートに乗ってみることにした。我が家から富士山静岡空港までは伊豆スカイライン、箱根経由で国道一号線を下り、新設のバイバスで沼津インターまで一時間、東名高速で吉田に出、空港まで一直線のマイルートを開発 ( トータル約二時間半 )。 
子供の頃心躍らせた、 「 兼高かおる世界の旅 」 が我が家から私だけの私的なルートで繋がり、中国上海まで一足飛びに現実のものになる不思議、 次は沖縄諸島か。


● 冒頭でも述べたように、杭州・西湖の景色もほらこの通り、北京や大連などで感じた埃っぽさなどここには微塵もない。
  春雨は美酒のよう 柳は煙のよう と謳われる杭州。私流に一言加えれば、蓮の花は
楊貴妃の微笑みか。

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● しっとりとした緑の空気に包まれて、ゆったりとベンチに憩う老婦人がいい。湖面を渡るそよ風に柳が揺れて、木の小舟で対岸に渡る。


○ 軒先を接す建物・庭の佇まいに日本庭園を思い、どちらが先かなどとあらぬ詮索をする。

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● 石打、笹の葉に固唾を呑む。


○ 銭塘江: 毎年8月18日前後、旧暦では十五夜のときに発生する大海嘯。そのため、古来、杭州では月餅を食べながら見物する伝統があるという、川を逆流した潮津波は80キロも遡上する。ブラジルのアマゾン川のポロロッカと並び称されるが、ほかにもイギリスのセヴァン川がある。この波、サーファーには人気があるがここではもっぱら観光目的とのこと、サーフィンではフランスのガロンヌ川が有名。
 
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● 一度見たい川だった。この現象は銭塘江の河口がラッパ状に開いていることと、河口先に島が点在して潮流を複雑にしていることと、台湾海峡から流れ込む潮流のスピードが海峡の幅が狭まるにつれて強くなることが原因といわれている。

アジアを巡る小さな旅でも、地球規模の自然の造形によるいたずらに思いを馳せ心が躍る。


○ 六和塔: 銭塘江のそばに立つ高さ60メートルの、北宋時代 ( 期限1,000年頃 ) に作られた鎮魂のための祈念塔は、木とレンガを材料に八角七層ですが、外からは十三層に見える。塔頂の灯りはかつて灯台の役目を果たしたという。大海嘯を鎮めるためなのか、犠牲者の魂を鎮めるためなのか、そこのところがよく分からなかったが、多分その両方であろう。

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● 憧れの銭塘江にて、その昔TVで見た大海嘯を熱く感じました。

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● 63歳の体にはこの階段はきつかった。登りより下りがきつく、意識より身体は正直で、数日膝が笑い、腿の筋肉痛に悩まされました。

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● 塔からの眺めです

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● 回廊のインテリアです



○ 旧市街の景色いろいろ: 梲が上がった商店街、通りに緑や凹みが少し有るだけで良いもんだ。

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◎ 杭州駅、新幹線、上海のなんと車乗り入れの出来るプラットホーム、国土が広く、又、最近の出来たてだからか、上海駅の外観。
万博には興味がないので写真はありません。

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○ 宿泊したホテルの足元に拡がる旧街なみ。

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 ●中国は広くて大きい・・・今はただ貪欲だが、この国、欲をかかなければ悠久の大地。
  
Posted by masuzawa05 at 10:43Comments(0)

2010年12月06日

福山市鞆の浦に三つ目の宿

      「 遠音・近音 」

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● 鞆の浦の港と建物の外観二面です


 “ 游 ” 空間 そんな ‘ まち ’ を旅する

 古くから瀬戸内で潮待ち港として知られた広島県福山市鞆の浦、旧・對山館が改築新装して、 現代の 『 和宿 』 として蘇りました。丁度オープンから1ヶ月が経ちました。恙無く営業されているようです。

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『 汀邸  遠音・近音 ( みぎわ邸 ヲチ・コチ ) 』 と申します。

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● 館名の由来である書画が古い木造の建物の中から見つかりました

 四月(ハル)を 仙酔島(シマ)どまり 雨戸(ト)も 閉(ク)らず
               発動船(ポッポ)す 遠音近音(ヲチ・コチ)― 帆聲

 「 春先、仙酔島に泊まった。雨戸も閉めずにいると、小船の往ったり来たりする音が遥かに聞こえてくる 」 とでも申しましょうか。

 ここは地元出身の作家、故・井伏鱒二さんがかつて釣り宿として利用し、小説の中にも登場する波打ち際の景勝の宿・・・・江戸時代、朝鮮通信使の一行の宿泊所にもなった 『 対潮楼 』 と呼ばれる建物の海側に在り、彼らをして 「 日東第一形勝 」 と言わしめた景色そのままに、見晴るかす沖合には 宮城道雄作 筝曲 「 春の海 」のモデルである、キラキラと光り輝く瀬戸内には、坂本龍馬の 「 いろは丸 」 が眠っている。
 元々は江戸時代に開業し、十返舎一九やシーボルトに愛された 「 籠藤 」 から始まる由緒有る宿。昔からの路地に面し、埋もれた様に佇む古い木造玄関棟をセットバック曳き家、最小限の補強と路地に面した小庭を配して玄関とし、客室・パブリックのある本館棟とは内庭とつたいで結び、懐かしく美しい宿に仕立てました。
・・・そう、歴史が綾なす盛り沢山な地域に シンプルなお宿の誕生です。

○ 対潮楼の建物です、日東第一形勝 ( 形勝:景勝の地に城とかを築く、の意 )

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時代を紡ぎ、今につなぐ手立てとしての保存再生、改装のお話が有ったときから是非やりたいと思った仕事でした。
お泊りいただくのがなによりですが、先ずはさわりをご覧あれ。

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○ 玄関棟と客室棟を繋ぐつたいと中庭の佇まいです。

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○ ロビー、ダイニング、客室です

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○ 鞆の浦の町なみです

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● 鞆の町をそぞろ歩き、昔に思いを馳せ、私(増澤)、松岡正剛さんの著作を思い出していました。


『 遊行(ゆ・ぎょう) 』 考


  出かけることは遊び、楽しむことである。

  旅をすることである。

  水に遊ぶことである ( 海・露天風呂・波間・風 )。

  一歩踏み出すことである。

 
鞆の浦という歴史に紡ぎ込まれた露地をつなぐ界隈性。まぎれ込んだ露地のとどのつまりの “ 游 ” 空間 ・・・・・『 汀邸  遠音・近音 』


 内と外をつなぎ、閉じつつ開き、瀬戸内に放たれる、聖(ハレ)と俗(ケ)のリズム感を伴った室礼 ( しつらい ) にみる、 「 仕切り 」 という多くの気配を発する路地空間が古代から連綿と続く、鞆の 「 宿り 」 の感性であろう。 

私(増澤)、いつしか白川静さんの世界にも紛れ込んでいました。


● 界隈性の概念:

鞆の浦~露地~門~玄関~つたい~游の空間(遠音・近音)~海~日本~世界~宇宙(そら)・・・・・界隈性、軒先には神が宿る。
たまに、何をお思いなさったか、いにしえの神々がにぎやかな灯りにつられ、露地に降り立ちそぞろ歩き。

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● 昔人の想いは、なぜこんなにも切なく優しいのだろう。

紀元700年頃、大伴旅人の鞆の浦を詠ったもう一つの歌が近くのむろの木歌碑に刻まれています。

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◎ ここで美しい料理のあれこれをご覧いただきたい。

 ○ 前菜

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○ お吸い物 (霙仕立て)

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○ 御造り

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○ 焼き物 (尺八かます焼き)

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○ 肉料理

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○ 温物 (鯛しゃぶ峰岡風)

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○ 食事 (鯛きのこ釜飯)

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○ 水菓子

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● 京風懐石で品が良く美味しいのだが、歴史が息づく潮待ちの港町を感じられるここらしい想い出のものが一品欲しい。 
そう・・・・・気さくなやつ、 たとえば 磯の貝や雑魚で出汁を摂った “ 漁師風 ” ブイヤベースとかが紅い塗り椀に小奇麗に盛られると、映えると思った。 『 遠音・近音 風 』 でいい。



 ● いろいろの宿が有っていい:

我々は数奇屋建築に拘るあまり地域性に疎くなったように思います。ゴージャスで美しく、使いやすいホテルナイズされた旅館ではなくて、自然を取り込んで多少の不便さが味になるような・・・・・と。
もっとアジア発世界に向けた普遍的で心に響く地域性が薫るものが有っていい、宿は数奇屋建築と言うよりも “ 好き屋 ” 建築でもいいのかなと最近思い始めています。


旅の道づれ、いにしえの露地に迷い込んでみてはいかがでしょうか。 日本は美しい!

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Posted by masuzawa05 at 11:25Comments(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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