2010年11月29日
天丼
以前、銀ブラのついでにソニービル地下の天一で、白ワインを飲みながらカウンターで天ぷらのランチを摂ったことがある。 ( 天ぷらにはプレーンな白ワインが合う ) どうも天國なのか、天一なのか判らずに入ってしまったようで、そこは紛れもなく天一だったのだが、それ以来天國 ( てんくに ) に行きたいと思っていた。
たまたまTVの ‘ 街歩きもの ’ 銀座特集で、天ぷらの天國を放映していて、親方の天ぷらを揚げている無駄のない動きや、天丼につゆをかける仕草に見惚れてしまった。
なおかつ、初老の支配人の客あしらいに老舗 ( 創業120年の ) のさり気ないもてなしの ‘ 妙技 ’ に感動してしまったものだから、さっそく天丼を食べに行ってみた。
新橋駅から銀座に向かう通りに面した風除け室を一歩踏み込むと、まさしくその支配人が奥のテーブル席の方から、軽く微笑みの会釈をしてこちらを見やりながら、どうぞと手差ししている。一瞬四人席のようだから悪いと思い、指を一本立てて、一人だからとサインを送ると、又にこやかに微笑んでどうぞと招く。昼時を外れていたので席は2~3空いていたからだろうが、客席に気を配りつつ、舗道から風除け室を経て室内に入るこちらの動きは全てお見通しのようだ。流石だ。
たかが天ぷら屋、たかが天丼と思いつつも、凛とした彼の立ち居振る舞いに気圧されて 『 C・天丼 』 を頼んでしまった。
C天丼は: 海老二尾、キス、文甲イカ、大海老一尾、野菜二点、で一番高く2、940円の天丼なのだ。以下B,Aの順に値段が下がる。一番安いのがお昼天丼 ( 土・日・休日は無しの平日サービス ) で1,100円。それにお昼ビール210円を付けることもできる。銀ブラついでにお昼には天國の天丼目当ての客が多いいからであろう。
タレは甘からず、しょっぱからず
御飯は硬からず、柔らかからず
代々受け継がれたタレといえども、てかてかせず。
これみよがしの汁沢(つゆだく)ならず
熱々でうまい。
周りを見渡すと、銀座の買い物ついでであろうか、初老の紳士淑女が軽めの天丼を食べている。よく観察すると四種類の天丼は香の物と味噌汁を付けた構成はどれも変わらず、丼の絵柄だけが違っている。それも老舗の気遣いなのだろうか。
( ギンブラニテンプラ・テンクニノテンプラ。かつて天國が配った、マッチ箱に印刷されたこの文句が銀ブラ族の合言葉になったという )
老舗の名物天丼であれば、金額に関わらずどれも旨いはずで、まして平日のお昼に天丼を食べに来るお客様への心遣いであるとすれば・・・・・しまったと思ったが後悔先に立たずである。
2,940円(税込み)の天丼は、私にとって金額面からは邪道であったが、お勘定を終えパンフレットに手を出すと、さりげなく 『 銀座200店 』 の小冊子を手渡してくれる支配人の絶妙の間合いは流石で、些細なことで豊かな気分になれる。それが老舗の奥床さであろう。
つぎはお昼天丼でお昼ビールを軽くやろう! それならば、しめて1,310円でおさまる。それこそリーズナブルプライスで、銀ブラにささやかな花を添える。
大学生時代の日曜日のお昼、懐具合が豊かなときは、近くの蕎麦屋で 『 カツ丼とざるそば 』 か 『 天丼とざるそば 』 を食べるのが楽しみだった。今でこそセットものはあるが、 『 天丼+ざるそば 』 でないところがミソで、○+○はどちらかがメインで残りが従なのだが、○と○は両方が同格であり、二つ食べるという当時はそれなりの贅沢であった。
7:3 位で天丼の方が多かったように思う。カツ丼 ( 普段我々の食べているのは煮カツ丼と言い、刻みキャベツの上にソースカツの乗ったソースカツ丼もある ) のヌクッとした卵味の汁沢 ( つゆだく ) 飯も捨てがたいが、甘辛の醤油味のタレが ‘ 若いし ’ の空きっ腹にはたまらなく食欲をそそり、そしてなによりも丼ものとサラッとした蕎麦は良く合った。
◎ 話し変わって、かつて嵐山光三郎さんが良い町や村の条件として 『 おいしい豆腐屋があること 』 と述べていたことを思い出しました。
その理由は 「 豆腐屋は朝早くから起きて、冷たい水を扱い、出来た豆腐もそんなに値段が高い物ではない。大変地味な骨の折れる商売である。なのに、その店が存続していられるのには、それを支える味に肥えた地域の人達が居るからだ 」・・・ と。
老舗とか、いい街とか考えると “ 人 ” の存在を考えざるを得ません。街づくりは人づくり、店づくりは人づくり。 何故かふと嵐山さんの 『 豆腐屋 』 理論が頭をよぎったのでした。
たまたまTVの ‘ 街歩きもの ’ 銀座特集で、天ぷらの天國を放映していて、親方の天ぷらを揚げている無駄のない動きや、天丼につゆをかける仕草に見惚れてしまった。
なおかつ、初老の支配人の客あしらいに老舗 ( 創業120年の ) のさり気ないもてなしの ‘ 妙技 ’ に感動してしまったものだから、さっそく天丼を食べに行ってみた。
新橋駅から銀座に向かう通りに面した風除け室を一歩踏み込むと、まさしくその支配人が奥のテーブル席の方から、軽く微笑みの会釈をしてこちらを見やりながら、どうぞと手差ししている。一瞬四人席のようだから悪いと思い、指を一本立てて、一人だからとサインを送ると、又にこやかに微笑んでどうぞと招く。昼時を外れていたので席は2~3空いていたからだろうが、客席に気を配りつつ、舗道から風除け室を経て室内に入るこちらの動きは全てお見通しのようだ。流石だ。
たかが天ぷら屋、たかが天丼と思いつつも、凛とした彼の立ち居振る舞いに気圧されて 『 C・天丼 』 を頼んでしまった。
C天丼は: 海老二尾、キス、文甲イカ、大海老一尾、野菜二点、で一番高く2、940円の天丼なのだ。以下B,Aの順に値段が下がる。一番安いのがお昼天丼 ( 土・日・休日は無しの平日サービス ) で1,100円。それにお昼ビール210円を付けることもできる。銀ブラついでにお昼には天國の天丼目当ての客が多いいからであろう。
タレは甘からず、しょっぱからず
御飯は硬からず、柔らかからず
代々受け継がれたタレといえども、てかてかせず。
これみよがしの汁沢(つゆだく)ならず
熱々でうまい。
周りを見渡すと、銀座の買い物ついでであろうか、初老の紳士淑女が軽めの天丼を食べている。よく観察すると四種類の天丼は香の物と味噌汁を付けた構成はどれも変わらず、丼の絵柄だけが違っている。それも老舗の気遣いなのだろうか。
( ギンブラニテンプラ・テンクニノテンプラ。かつて天國が配った、マッチ箱に印刷されたこの文句が銀ブラ族の合言葉になったという )
老舗の名物天丼であれば、金額に関わらずどれも旨いはずで、まして平日のお昼に天丼を食べに来るお客様への心遣いであるとすれば・・・・・しまったと思ったが後悔先に立たずである。
2,940円(税込み)の天丼は、私にとって金額面からは邪道であったが、お勘定を終えパンフレットに手を出すと、さりげなく 『 銀座200店 』 の小冊子を手渡してくれる支配人の絶妙の間合いは流石で、些細なことで豊かな気分になれる。それが老舗の奥床さであろう。
つぎはお昼天丼でお昼ビールを軽くやろう! それならば、しめて1,310円でおさまる。それこそリーズナブルプライスで、銀ブラにささやかな花を添える。
大学生時代の日曜日のお昼、懐具合が豊かなときは、近くの蕎麦屋で 『 カツ丼とざるそば 』 か 『 天丼とざるそば 』 を食べるのが楽しみだった。今でこそセットものはあるが、 『 天丼+ざるそば 』 でないところがミソで、○+○はどちらかがメインで残りが従なのだが、○と○は両方が同格であり、二つ食べるという当時はそれなりの贅沢であった。
7:3 位で天丼の方が多かったように思う。カツ丼 ( 普段我々の食べているのは煮カツ丼と言い、刻みキャベツの上にソースカツの乗ったソースカツ丼もある ) のヌクッとした卵味の汁沢 ( つゆだく ) 飯も捨てがたいが、甘辛の醤油味のタレが ‘ 若いし ’ の空きっ腹にはたまらなく食欲をそそり、そしてなによりも丼ものとサラッとした蕎麦は良く合った。
◎ 話し変わって、かつて嵐山光三郎さんが良い町や村の条件として 『 おいしい豆腐屋があること 』 と述べていたことを思い出しました。
その理由は 「 豆腐屋は朝早くから起きて、冷たい水を扱い、出来た豆腐もそんなに値段が高い物ではない。大変地味な骨の折れる商売である。なのに、その店が存続していられるのには、それを支える味に肥えた地域の人達が居るからだ 」・・・ と。
老舗とか、いい街とか考えると “ 人 ” の存在を考えざるを得ません。街づくりは人づくり、店づくりは人づくり。 何故かふと嵐山さんの 『 豆腐屋 』 理論が頭をよぎったのでした。
Posted by masuzawa05 at
09:00
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