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増澤信一郎の心模様

2009年12月28日

心に残る建築家の言葉・その26

171−1心に残る林昌二スケッチ1






◎ 設計という仕事は、多元高次方程式を解くのに似た仕事です。
さまざまな仮説を立て、試行錯誤を繰り返して正解を探ってゆきます。

 何十枚ものスケッチを重ねても、なかなか思うような設計に達しないで苦労し、もう私の才能ではこれで打ち止めかというとき、ふと別の案がひらめき、それを描いてみると素敵な解決があったことがわかる、設計にはそういうなんともいいがたい悦楽の世界があります。

 神が降臨したとしかいいようのない瞬間です。  
『 建築家 林昌二毒本 』 より
171−1心に残る林昌二スケッチ2






 パレスサイドビル、ポーラ五反田ビル、掛川市庁舎、新宿NSビル等 多くのオフィースビルを手がけられ、今なお良心の毒舌冴えわたり、オフィースビルの先駆者としての地位を確立された。

● 私(増澤)の記憶に生々しいのは、新宿のNSビルの大吹き抜け空間の最上部を横切る斜めの空中回廊を見学に訪れた老婦人が 「 こんな空間を体験できて、長生きしていて本当に良かった 」 と述べている映像をTVで見たときでした。
 旅館設計馬鹿としては名前こそ知っていましたが、オフィースビルにはまったく興味がありませんでしたが、老婦人の言葉につられて、早速見学に行ってみました。外部化された内部大吹き抜けを、ボイドなブリッジが斜めに掛け渡されて、オープンなオフィース棟の廊下と一階床の設えが見下ろせるのでした。


◎ 林さんは常日頃からオフィース建築が面白いとの持論から、「 オフィースに住む 」と題してこう述べています:


 ○ いま、オフィースの時代
東京がビジネスセンターの中心になりつつあり、需要が増加し、オフィース空間の質が問われ始めた。OA化のための設備投資が始まっている。

 ○ なぜ、オフィースなのか
ビジネスの世界で、オフィースはこれまで長い間、日陰の存在でした。「 OA化 」 や「 インテリジェント化 」 が陽の光を当て、この先創造的な知的作業に相応しいオフィース空間が求められている。

 ○ オフィースが都市の主役に
日本ではオフィースワーカーが労働者数の50%を越え、一日のうちで昼間の最も「 おいしい 」 時間の大部分を過す場所になった。

 ○ 「 顔 」 としてのオフィース
人が事件を起こしたときに顔写真が出るように、社屋が会社の 『 顔 』 だと認知されてきた。

 ○ オフィースのかたちは組織のかたち
巣のかたちを見れば、そこに住む生き物のおおよその生態がわかるものだそうです。同じことが人間のつくる空間にも言えるようで、住まいはその人の鏡で、オフィースビルについて言えば、外観を見ればその会社の性格、思想がつかめます。

 ○ オフィースは 「 帯 」 であった
会社は課を中心とした十メーター程の区割り幅を延長した、細長い帯のような空間であった。

 ○ 「 帯 」 の幅が広くなる
OA機器のお陰で 「 課 」 の大きさを示した 「 帯 」 の幅の意味が薄くなって、 「 帯 」 の幅はOA化の進展で広くなった。

 ○ 日本人は大部屋好み
「 帯 」 であるオフィースの幅がどんどん広がっていきますと、 「 面 」 に変わります。日本人は大部屋を好みます。仲間の動きを感じ取れ、声が聞こえ、その表情が読める。それが好都合であり、そうでなければ仕事にならないと考えます。

 ○ オフィースに、社会と文化が映る
空間構成はビジネスの論理だけで組み立てられ、風俗習慣、人びとの好みなどという要素の入り込む余地などなさそうですが、社会的習慣と建築構造とは別々のものではなく、互いに影響を及ぼしあって生活上の伝統をかたちづくってきました。

 ○ なぜ日本では 「 箱 」 なのか
日本のビルは箱のようだといわれますが、ビルの外形の違いは芸術性のもんだいではなく、中身の違いが外形に出たということなのです。実は管理職といわれる人々の仕事の違いから来ています。

 ○ オフィースで、何をする
創造的などと大袈裟な話でなくとも、実態はわき目もふらずといった雰囲気ではないと思います。仕事に集中しているとは言えない時間の連鎖が、実は大部分を占めます。そこが肝心です。

 ○ なぜ、窓が要る
人はそう長くものを考え続けることは出来ません、考えが行き詰まったときには、ふと窓のほうに目をやるものです。そこに見えるものは、誰かがあらかじめ用意したものではなく、 『 今 』 という 『 時 』 とリアルタイムに繋がるものであることが望ましい。緑でも良い。雪景色でも良い、隣のビルに働く美人でも良い。

 ○ オフィースは生活の場所
個人差をどう解決するかという難問はともかくとして、オフィースで創造的仕事に必用とされる緊張とくつろぎを、どのように両立させるかが大切で、そこにはまず、生活の場としてとらえ直すことが求められます。

 ○ 生理には素直に従う
社員の健康を考えるのなら、ビルを建てるとき、便所に自然光を取り入れる工夫をするのも会社の仕事の一つです。

 ○ オフィースが先か、住まいが先か
オフィースは全生活の時間・空間の一部を形成するものです。住まいと通勤途中がその相当部分を占め、その他赤ちょうちんやマージャン屋、ゴルフ場などが少しずつ加わり、全体の空間・時間の中でのオフィースの生活は、それらと無関係ではありません。相互のバランスが成り立って全体の生活像が完結します。

 ○ プライバシーは必要か
これまでは必要ありませんでした。しかしながら、生活の場となればプライバシーは必用です。ではどこまで必要か、それは遮断の度合いに関わります。度合いに応じて、さまざまな材料・手法があります。プライバシーづくりには工夫次第で多様化が可能です。

 ○ 食堂からのメッセージ
食堂は、オフィースの中では風変わりな、未来からのメッセージを受け取る場所です。いろいろの考え方がありますが、このての 「 楽しみ 」 の施設が、人を会社にひきつける要素として、日本でも考えられ始めたことを示します。

 ○ 変化あっての生活空間
オフィースの空間は、住宅に譬えれば 「 書斎 」 に相当します。書斎での仕事のしやすさは、道具の性能や配置や、照明や温度の具合によって大いに違ってきます、二、三時間も仕事をしたら隣の部屋でお茶を飲むとか、ちょっと散歩に出るとかして、書斎の魅力が保たれます。オフィースの中にも、さまざまな 「 隣の部屋 」 や 「 散歩に行く先 」 が必要です。気晴らしには、それに相応しい場所を、オフィースのなかに積極的に用意するのが、将来の方向です。

 ○ オフィースはリビングに向かう
オフィースが一種類の部屋から、書斎、食堂、喫茶、そしてリビングという多様な空間の集合までを含んだ、生活の場に変わっていくことです。

             林昌二著 「 オフィス・ルネサンス 」 より抜粋。


◎ そして、巨大建築を創りながら; どんな大型建築も、住宅から機能分化したものに過ぎないと述べています。

                           
● 私(増澤)、ある人が言っていたこの言葉が突然蘇りました 「 巨大高層ビルが作れるからといって、住宅が作れるとはいえない。住宅が作れる人は高層ビルも作れる 」 。

 ところで、かつてこのようなオフィース論を聞いたことがありませんでした。オフィースが面白いと標榜し、話題作を日建設計で創り続けた林さんに脱帽です。八年前奥さんで建築家の 林 雅子さんが亡くなられたのが残念です。
  

Posted by masuzawa05 at 20:57Comments(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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