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増澤信一郎の心模様 石井建築事務所ブログ

2007年11月27日

上海万博から見える都市の中心と周縁問題

 私どもが所属している、社団法人・国際観光施設協会の副会長で造園家、TBS サンデーモーニングのコメンテーターとしても活躍中の、桐蔭横浜大学特任教授 涌井史郎さんの辛口の講演を聞いてきました。

 2005年名古屋で開かれた、『愛・地球博』 では、会場演出総合プロデューサーとしての重責を果たされました。

涌井











 上海万博は Better City Better Life を標榜し2010年に開かれるのだが、どうも技術優先の、それも世界から知恵と融資を受けての都市整備のような気がすると手厳しい(公的には涌井さんは参加していない)

 日本は海を挟んでの隣国であり、特に公害問題では、空を介して中国の汚染物質を吸着した黄砂が降り注ぎ、
 河川、海を介して汚染排水が日本海でクラゲの大量発生を生んでいる。隣人としては他人ごとではないのだ。未来をともに生きる隣国として無視はできないのだが・・・・。

 会場周辺の土壌汚染、運河・湾の水質汚染、黄色く空にたなびく大気汚染、そのへんを封じ込めてのベターシティ造りが本当にベターライフ創りになるのだろうか?と言う疑問。

 もちろん日本も幾多の公害訴訟を経て、恥ずかしながら自己免疫が生まれた。ならば、なぜそこのとこの 「知恵と、技術と、アイディアを提供してくれないか」 と言えないのだろうか!そんな忸怩たる 涌井氏の思いが特に感じられた。

 『愛・地球博』は環境と共生、自然から学ぼうを標榜して大成功を収めました。

 話を伺ううちに、私も 21世紀型の‘ 万博 ’のありようが、おぼろげに見えてきたような気がしてきた。

 世界は今、LOHAS(ローハス) が叫ばれ、動物としての人間の環境・自然と共生した持続可能な生活が求められている。
                                
産業革命によりもたらされたあまたの技術をもって、新たな環境革命を起こし、自然資本に戻す時代の到来を感じると述べています。

息抜きにこれは会場の 『自由学園・明日館(みょうにちかん)』 の講堂の写真です。(ところで講堂といえば昔の木造で出来た体育館兼講堂が懐かしい)。木造には、勢いあまってぶつかっても怪我をしないようなそんな優しさがある。           
建築家・フランクロイドライトの作です。


01上海02上海















 ◎ とくに、ガーデンとは ガード:囲う
              エデン:楽園                    
との造成語? というくだりが面白い。

   緑豊かな、アジア的自然観が大切で、上海万博がどこに向かうかがはっきりしていない。と、心配しているのが印象に残りました。



   私、これからは 『 技術の万博 』 から
                    
『 人に寄与する技術と自然と心の万国博覧会 』 にならねばと思いました。
  

Posted by masuzawa05 at 15:13Comments(0)

2007年11月19日

美しい景観を創る会・ファイナルシンポジウム

 2年間のシンポジウムの総まとめが、数ヶ月前東京の国際文化会館でありました。
以下はその内容のポイントです。

○ 日本の景観政策を提言する;

12人のメンバー
・ 伊藤 滋 (都市計画):早稲田大学特命教授
・ 石井幹子 (照明)  :光文化フォーラム代表
・ 石井弓夫 (土木)  :(社)建設コンサルタンツ協会会長
・ 小倉善明 (建築)  :(社)日本建築家協会前会長
・ 楠本侑司 (農村計画):(財)農村開発企画委員会専務理事
・ 新宮 晋 (造形)  :造形作家
・ 榛村純一 (森林・地方自治):前掛川市長、(財)森とむらの会理事長
・ 中村英夫 (国土計画):武蔵工業大学学長
・ 中村良夫 (景観工学):東京工業大学名誉教授
・ 平野侃三 (造園)  :東京農業大学名誉教授、(財)都市緑化基金前理事長
・ 宮本忠長 (建築)  :(社)日本建築士会連合会会長
・ 村尾成文 (建築)  :(社)国際観光施設協会会長、(財)日本建築家協会元会長
* 「美しい日本を創る」 本が出版されています。彰国社・¥2000円

● 基本認識と理念

1・「山気水脈の列島」; 世界に例を見ない表情豊かな日本の山水は、文化の母胎であり、美の神殿である。このような山気水脈に恵まれた日本列島のしなやかな景観像を継承発展させる。

2・「日本文化の円熟」; 自然の恵みで生き、文化を育んだ日本人の歴史をかみしめる。市民生活と企業活動の公共的規範意識を取り戻し、未来型『山水都市』の構築を目指す。

3・「エコカルチャー文明」; 国土の健康、文化の蓄積は国力の源泉である。景観創造を通じて豊かさを再定義し、21世紀に生きる希望を探る。

● 具体的政策提言

1・地域の地模様を描く(景観マスタープランの策定と山気水脈ネットワークの整備)

2・都市の顔とシルエットをつくる

3・都市を文化の貯金箱とする

4・景観の筋書き乱す夾雑物を撤去する

5・地域の文脈を編みなおす

6・日本の基層文化としての森と村を蘇生する

7・専門家、市民、行政が三位一体で協働する



◎私(増澤)、一連の景観シンポジウム参加の動機;

○ 職場の近く、毎日通勤で走る伊豆多賀の、海沿いの美しい小高い丘が二十数年前無残にも削られ、田舎に不釣合いな緑の大きなマンションが出来てしまいました。
 なんで? と思ったのですが、地元業者も絡んでいるし、しょうがないか! とずっと思っていました。ある日、当シンポジウムの始まりのパンフレットを見たところ、なんと、悪い景観の筆頭として写真が出ているでは有りませんか。 取り上げられたことに納得し悲しい気持ちになったのが原因です。(コレは民間の無思慮な開発の一例です)

01景観02景観03景観










○ つづいて四十数年前、高校時代の通学電車・熱海から伊東線で網代駅に着くトンネルに入る手前左手にきれいな入り江が拡がっていました、電車はあたかも波打ち際を走っているような錯覚に陥る岬の見える美しい景色でした。 あるとき埋め立て工事が始まり、今は市の体育館とソフトボール場、テニスコートが何面か在ります。車窓からはその部分、今は海が望めません。景観を守るべき観光地に有って、 言語道断!  沿線住民や市民が大事にしていた景色なのに、なぜだ!   

埋め立ては簡単に公共用地を確保できますが、多くの人の心に残る美しい記憶(景観)を無残にも消し去ってしまいました。これらは子孫に残すべきかけがえの無い豊かな自然なのに。(コレは役所が犯した過ちで、今となっては取りかえしがつかない)

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 我々には 後世に残すべき ‘美しい日本の景色’ を守る責務があります。そして、
一度失った自然景観を取り戻すには、数倍のお金と数十倍の時間がかかります。



● 「悪い景観 100選」のホームページ掲載
 http://www.utsukushii-keikan.net/ です。悪い例70、良い例30が載っています。
  
Posted by masuzawa05 at 10:14Comments(0)

2007年11月12日

ニューヨークに行ってきました・その3

またまた 美術館巡り・2

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マチスのダンシングサークルが階段室にサラリと展示されている。          
後で聞いた話ですが、世界で3点ほどあるうちの1点だそうです。  


◎ 近代美術館( Museum of Modern Art ) 通称 MoMA

 ゴッホ、ロートレック、ルノアール、マチス、モネ、セザンヌ、カンディンスキー、ルソー、ダリ、アンディー・ウォーホール、ピカソ、ロダン、ジャコメッティ etc。印象派から今日に至るモダンアートや彫刻の代表作を10万点以上所蔵する。 谷口吉生設計。

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 去年会社の旅行で見学した、谷口さんの丸亀市立猪熊弦一郎現代美術館は、空間が広すぎて、私にはオーバースケールしている。テクニック的には一緒なのだが、こちらの方がスケール感がいい。吹き抜けや縦横にうがたれた開口部のバランスが良く、それが街中の喧騒を感じさせながらの外部中庭とうまくマッチしているせいかもしれない。

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 ○ 内部です

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 ○ 大きないたずら書きのような、白黒のイラスト・アート壁面がキャンバスになり、      身をよじるようにして仰ぎ見る赤い服の女性の、さりげないポーズが 『 絵になってしまう 』 不思議。 どちらも見とれてしまう。


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やはり、秀逸なのは中庭である。‘ 喧騒の中の憩い ’ とでも言おうか!
        
 四角い中庭の長辺一面のみ低い塀で仕切られていて、クラシカルな他所の建物が近代的な白い美術館に対比して絵のように美しく見える。

屋外展示空間であり、時に野外コンサート会場にもなる高層に囲まれた ‘オアシス’は、時々刻々緑陰と日だまりが移ろい、夏の昼下がり小休を得てテーブルにて涼むには丁度いい。
         
ここでサンドウィッチとコークでランチを摂る。

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◎ イサム野口美術館(The Noguchi Museum)

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 マンハッタン 49stの地下鉄駅、 Nライン アッパータウン(上り)に乗って7つ目のブロードウェイ駅でおりて、10ブロック歩いて下ると左手にある。静かな街です。
治安の悪い地域だと後で聞きましたが、上天気の中歩いてみて、そんな感じは微塵もなかった。                                               
真っ直ぐな道の突き当たりで心配になったので、習いたての英語で「 How do I Get the Noguchi Museum 」と聞いたところ、そこだよと指差された先に、写真で見た黄茶のタイル貼りの建物があった。

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 質実剛健な建物の造りは、日本の彼の庭園美術館にも通じるシンプルな美しいものでした。
 
 日本人がらみの二つの美術館を見て、自然と一体になった建物、 庭と取り合った建物、外部を取り込み、内部を外に解き放つ建物。・・・・そこには厳然として脈打つ、和の美意識を感じました。


 これは街中で見かけた涼しげな写真スポットです。私も含めかなりの人が、トンネル通路を渡り記念写真を撮る。そして しばし椅子に座って憩う。

A










庭を持つ美術館を見て 建築に自然を取り込んだ形が好きだ。

『 光が踊り、緑がそよぎ、風が巡る 』
                      
自然と対峙して、おごらない感性に 乾杯!  


それでは 次回  気に入ったホテルのこと等を・・・。
  
Posted by masuzawa05 at 13:32Comments(0)

2007年11月05日

感性について

 日本には水の状態を表わす言葉がものすごくたくさんあって、非常に豊かなんですね。そういう自然に対する日本人の感性は先祖代々受け継がれてきたものであって、それがモノづくりのうえでも生きているように思うのです。

伊関









 作家で元旋盤工の 小関智弘(こせきともひろ)さんの言葉 ;

1ミリの1/100ってどんな程度のものか感覚的にわかりませんけれども、どんなふうに教わったのですか?
教え方は具体的でとてもわかりやすかったですね。まず「おまえ、自分の髪の毛一本抜けや」といわれ、 つぎに「オレの髪の毛一本抜いていいよ」って、頭を突き出すから一本抜かしてもらいました。 それで、「その髪の毛を指に挟んでよじってみろよ。どっちが太いかわかるか」と。 やってみたら、どうも自分のほうが太そうだから、僕のほうが太そうだなあって言ったら、 「じゃ、マイクロメーターもってきてそれを測ってみろ」と。
それで測りましたら、私のほうが8/100ミリで、職人さんのは7/100ミリだった。その差はわずか 1/100ミリしかなかったのです。 「ほら、1/100がわかったろ。1/100なんてのはな、そんなもんなんだよ」 と。 うれしかったですね、自分の指先で1/100の差を見分けることができたのだと。

人間の感性って繊細ですから、それをうまく利用するというか使っていけば、1/100というのはそんなに難しい仕事ではないというのを身をもって理解できるわけです。そうした職人の教育方法は素晴らしいと思いましたね。 単に1/100を教わっただけではなくて、人間の備える能力にはものすごいものがあることを教わったように思うのです。 と、結んでいます。


無視してもいいちょっとした違いもあれば、 大事にしなければならないちょっとした違いもある。 大きい小さいではなく、 本質をどう見極めるかが益々問われるでしょう。

日本の四季に学んでオリジナルな感性を磨き、デザイン力と超職人技で世界に打って出よう。 「 資源小国としてはそれしかない 」 と、思える今日この頃です。
  
Posted by masuzawa05 at 10:09Comments(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
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