livedoor Blog
このBlogをチェッカーズに追加 このBlogを
チェッカーズに追加
このBlogをリーダーに追加 このBlogを
リーダーに追加
増澤信一郎の心模様 石井建築事務所ブログ

2005年10月31日

  日本の軒先空間・その4

  縁側・濡れ縁

 今までに、ゆったりとした旅館の離れに広縁(広縁と言うにはあまりにも狭い広縁が多いいですが)という名の縁側を設け、外部に濡れ縁を作ったりしました。
 春・夏・秋・冬 季節の移ろいの中で濡れ縁に涼をとり、枯葉を踏みしめ、夏の昼下がり縁側に置いた籐の寝椅子でまどろんだり、ひざ掛け毛布越しに深々と降り積もる春の雪を眩しく眺めたりもします。

 そんな庭へとつながる軒先空間がいとおしく、普段の‘住まい’の中に息づかせたいと思っています。 なぜか近代化の中で忘れ去られてしまった古き良き習慣や室礼を、現在に取り戻すだけで豊かな気持ちで過ごせるのは必定です。


 外から内へ、内から外へ、温もりの粗密を伴って徐々に季節と移ろう軒先空間は日本人の情念の‘ふるさと’と言っても過言ではないでしょう。


軒先11軒先10






軒先12  

Posted by masuzawa05 at 10:34Comments(0)TrackBack(0)

2005年10月24日

日本の軒先空間・その3

   庭と建物
 春夏秋冬を体験する。余談ですが、ここ10年余り休日は野菜作り、畑仕事に没頭している。以前はあまり思わなかった太陽の出と入り・軌跡の違いに恥ずかしながら驚いている。畑の平面図(作付け表・図)に軌跡を載せる。春野菜と秋冬野菜では畝の向きが違うのだそうです・・・。中秋の名月はこの方向だったのか。風の流れ、日のさし方、水の出方、その場所の地なり。
 世の定めは陽暦のカレンダー、生きとし生けるものの季節感・リズムは陰暦。今はそう決めています。特に二十四節気はそのものずばり偉大です。

 そしてその土地にスックと立って、南と北・東と西にヒューマンスケールの空きをとってみる。平面計画・配置計画・断面計画、平面・立体のプロポーションを整え、さらに互いのバランスをみて、具体的な敷地形状とのすり合わせとシュミレーションをする。
       
   開口部のとり方
一、 内部と外部のつながり:連続性とプライバシーの確保を前提として、低い目線で庭と接するつながり方の検討

一、大開口部(南に向けた)と庇・・・もちろん通風を兼ね北庭を見る開口部も大切です。
  夏の日差しをさえぎり、冬の熱を取り込む庇の高さと出のバランスや、夏・冬の日の出日の入りの方向と太陽の軌跡のチェックが必要です。

一、 大開口部の処理:建具を入れてなお、庭と一体化させる為の方法の数々。
開き戸・引き戸・引き違い戸・引き込み戸・嵌め殺し戸・・・どうするか。

一、 雨戸・ガラス・カーテン・ブラインド・障子の組み合わせ。

一、 開口部のプロポーション。

一、 軒天と内部天井のつながりに対する配慮。

 軒先空間に於ける内外部の出会いがしらを‘季節’を踏まえてサラリと演出する。日本の家はかくありたいと思います。

 互いの‘出会い’は期待感を醸し出し、期待感の連続は感動へと昇華する。

軒先08軒先09  
Posted by masuzawa05 at 11:13Comments(0)TrackBack(0)

2005年10月17日

日本の軒先空間・その2

 縁体空間  内部と外部の中間領域、外部に面した開口部から縁側・濡れ縁・テラス・庇などを経て、軒先に至るまでの各部位によって創出された空間。この曖昧な中間領域のデザインが腕の見せ所である。
 建築家・横内敏人さんはこう言っています「軒内空間をどう作るかということは、自分が‘外’とどう係わるかという基本的な表明であり、それが採光・通風・断熱性・プライバシーなど、住まいの囲いとしての性能を大きく左右する。 しかし、軒内空間をどう演出するかが、日々の生活に変化と楽しみを生み出すと共に、住まいの付加価値を高める重要な要素であることを忘れてはならない。」
 伝統的な日本の家には豊かな軒内空間が存在していた。日本建築の本質は縁側・濡れ縁等を境として内と外につながる軒内空間に有ったと言ってもいいでしょう。現代の家作りの具体的な空間や間取りにその精神性をどう取り入れてゆくのか・・・そこが肝心です。

 そしてこう続けています「外の景色がきれいに見える大開口部は魅力的だが、それによって夏は日が入りすぎて部屋が暑くなったり、冬はコールドドラフトで足元が冷え込んだり、夜は外から中が丸見えになってはプライバシーに問題がある。この相反する問題を解決し両立させることが出来ないだろうか。そこにこそ自分だけのオリジナルなデザインが生まれる。」具体的なテクニックは著書を参考にしていただくとして、ここでは総論にとどめます。

 人の入る器としての建築を作り続けながら、かつて日本の住まいが当たり前のものとして持っていた‘魅力と豊かさ’を今の私たちの生活に新しい形で取り戻せないだろうか!又そうすることによって、修復が困難になろうとしている人間と自然とのより良い関係を個人の生活意識のレベルに取り込み、根付かせたいと思っています。日本の‘宿り’としての旅館も例外ではありません。
 それは広義に考えれば、人も建物も自然の一部なのだから・・・・・・・。
軒先04軒先05







軒先07  
Posted by masuzawa05 at 17:23Comments(0)TrackBack(0)

2005年10月11日

日本の軒先空間・その1

 学生時代に教わった建築家・沖種郎先生の基体空間と縁体空間と言う空間概念がある。
その概念が未だに頭を離れず、私の旅館設計に息づいている。
 古い話とお笑いでしょうが、当時TVでヒッピー姿のハナ肇の「アッ!と驚く為五郎」と叫ぶシーンが流行っていた頃で、同僚の十代田教授がそれをもじって「アッ!と驚く種五郎」・・・大笑いした思い出があります。それは兎も角。
 一戸の家を基体空間とするとしよう、それらにまつわる縁側・軒内・庭・外部一般へと繋がる様々な関連する縁体空間がある。
 次に家を中心として外部へと繋がる空間を一セットの基体空間と考えると、その様々な基体空間を取り込んだ縁体空間は町を形成する。町を一セットとみなす基体空間は付随する縁体空間を取り込んで地域を形成する。そしてそれは国・世界・地球・惑星・宇宙へと繋がる。
 例えば儒教思想にある「修身・斎下・治国・平天下」の考え方の空間版の概念の一番基となる軒内空間の捉え方が、ある意味では宇宙観及び儒教思想の基本と言えなくはない。
 そして軒先を通じて庭から拡がり宇宙まで通ずるこの場所に、その人の生き方が・あるいは哲学が住まいにオーバーラップしてはっきりと表れる。四季折々の軒先は神々しく、それ故に疎かに出来ない。

 ある方がこう言ってました:雨が創った日本の住まい。雨の多いいこの国の特徴は屋根と庇にある。強い日差しや斜めに吹き込む雨をしのぐ為に軒や庇は必然的に大きくなり、梅雨などのジメジメを解消する為に壁で囲い込まないで、開口部を出来るだけ広くとって風通しを良くし開放的な間取りとした。                                       
雨の少ない国の形状を真似たとしてもそれは日本の風土には耐えられないだろう。近代生活に慣れたとはいえ、日本の風土は連綿として続いているのです。日本の家がどう変わるかは未だ答えがないが、いずれにしても風土に根ざしたものが残るでしょう。
 屋根を付ければいいってもんじゃない・・・・そんな声も聞こえますが、付ければかなり馴染みます。       

長い間培われた建築的形態が人の心に及ぼす影響を考えると身が引き締まる思いがあります。繊細に且つ大胆にことに臨むしかありません。
軒先01軒先02











軒先03  
Posted by masuzawa05 at 13:32Comments(0)TrackBack(0)

2005年10月03日

セールスポイントをどこに置くか。

東証一部上場IT企業の創業者のN氏がこう述べていました。

現状のマーケットの中でお客様のニーズを調査して商品なりサービスなりを提供していくと言う時代は終わった。
これからはお客様も気付いていない、或いはどうしていいか分からない。そういう所に我々の持つユニークなアイデアを提供し商品化してゆく・・・・。云々

建築設計という私共の職業に置き換えると、
「誰も気付いていないユニークなアイデアなりデザインを提供し、新しいタイプの‘旅館’や‘商店建築’、‘建物’を作ってゆく。そういう創造性が求められる。」と言う事でしょうか、特にその事を意識してデザインしています。その為にはお客様の目線に留まる事無く、常に研ぎ澄まされた感性と意欲的な行動力で生活し、新しい空間の形を発信し続けようと思っています。

東京のホテルは外資系を除いてあまり面白くない。旅館はもっと面白くない。
リスクを考えるので経営者も面白くない、リスクを負うので設計者も面白くない。宿ることへの緊張感に欠けている。もっとしたたかな仕掛けが欲しい。面白ければいいってもんでもないけれど、‘つまらない’より面白い方がいい。そのほうが明るくて元気が出ます。医学的にも笑顔は体の免疫反応を好転させます。笑顔で‘気’の流れを変えましょう!

 先日コンラッド東京のチャイナブルーと言う中華レストランに行ってきました。このところ外資系ホテルが和テイストのデザインを展開しています。日本に作るホテルですから当然と言えば当然ですが、このホテルは我々の仲間である造形作家のアドックの篠原氏が幾つかの造形を手がけています。篠原デザインが見られます。
 私が強く印象に残ったのは、エントランスホールの赤いオブジェの色。ピンクがかった赤は、ピンクから派生した赤なのか、赤に内包されたピンクなのか・・・。日本の伝統色には無い、フランスか中国の伝統色の様な色でした。
オブジェ

 







中華レストランはチャイナブルーと言う店名に因んでブルーの照明が印象的でした(写真では良く分からないので、行ってみてください)イギリスのロイヤルブルーは知っていますが、チャイナブルーって何だろうと思って、帰ってからよく考えたら、中国の磁器の色かと思い当りました。店名としてはそれも一つのアイデアでしょう。チャイナブルー(青磁)から派生したイメージはそれも一つのヒントになります。

小泉さん流、人生いろいろ、会社もいろいろ、デザイン色々、その色の持つ魅力は限りなく深く、豊かで我々のアイデアなり、デザインの創造力を刺激してくれる事が分かった一晩でした。

(磁器の青について: 呉須=磁器の染付けに用いる藍色顔料、中国に天然に産する本
呉須(唐呉須)という。多量のコバルト・マンガン・鉄などを含む、黒褐色の粘土を用いたが、近来は人造呉須を使用)

心に笑顔を点して、施設とサービスにオリジナルな‘セールスポイント’創りましょう!
照明  
Posted by masuzawa05 at 19:29Comments(0)TrackBack(0)
心を形に表す
建築空間にはいろいろの「想い」がある。
具体的な平面から容積のある空間へと立ち上げるさまざまな作業の中で、オーナーの使い勝手や心情が、私の心を通して色づいていく。
思い入れ豊かに熟成された建築空間には、オリジナルでしなやかな空気が息づき始める。
豊潤で美しく、時に凛々しい。
機能的であることは大切なことですが、美的な創意工夫も大切な要素です。
そう思いながら設計しています。


増澤信一郎
S22年10月11日生まれ
芝浦工業大学建築工学科卒業
静岡県伊東市宇佐美在住
MONTHLY ARCHIVES
アクセスカウンター

アクセスカウンター